フィリップ・シックネスの『暗号解読および暗号記法の技術に関する論考』

1772年,フィリップ・シックネスは『暗号解読および暗号記法の技術に関する論考 調和アルファベット付き』(Philip Thicknesse, A treatise on the art of decyphering and of writing in cypher with an harmonic alphabet)を出版した.

音符を使って暗号文を書くための調和アルファベット(harmonic alphabet)を,怪しまれずに連絡する方法として強く推薦しているのが特徴.「調和アルファベット」とは文字を音符で表わす換字表のことだが,暗号文ができるだけ自然な楽譜に見えるよう高頻度文字を楽譜の中ほどの音程に割り当てるよう工夫している(下記の最初の譜例およびp.72参照).さらに調和を完全にするためには,意味をもつ音符を一部のみとし,暗号上無意味な音符を(多数)含めることも提案している.本書でのharmonyという語は「和声」よりは「調和」ないしは「(メロディーらしい)自然さ」という意味で使っているケースが多いと思われる.

当時主流の暗号は数字を使ったコード暗号になっていたが,シックネスは調和アルファベットに対して過信ともいえるほどの自信を示している.コード暗号の仕組みが周知であることは言うまでもないが,適切な更新を行なえば「その鍵はヨーロッパの君主のほとんどが有している」(p.88)とまではいえないだろう.少なくとも近現代では,暗号の安全性は,方式の秘匿ではなく,鍵の秘匿によることが常識になっている.暗号であることを疑われないことが重要という点は見識であり,多くの論者が論じているところではあるが,調和アルファベットの実用性についてはRees Cyclopaedia (1802)のcipherの項目(別稿参照)では早速懐疑的な見方が示されている.

音符暗号以外のさまざまな暗号についても解説されているが,自ら認めている(p.90)ようにウィルキンズ『マーキュリー』フォークナー『クリプトメニシス・パテファクタ』の受け売りが多く,新味に乏しい.とはいえ,まえがきからすると暗号解読の知識のない人を読者対象としているものなので,暗号学上の新たな知見を求めるべきではないだろう.それに,スキュタレーやアーガイルの暗号(語転置)の解読については独自のコメントもしている.

周辺的なことをいくつか補足しておく.

シックネス(1719-1792)は暗号解読官ウイリアム・ブレンコウの遠縁だった.シックネスがジョン・ブレンコウ (DNB) の姪の子であるのに対し,解読官ウイリアム・ブレンコウはジョン・ブレンコウとジョン・ウォリスの長女との間の子(よってウォリスの孫)だった.そんな縁でまえがきではブレンコウ任官のエピソードを紹介している.ただし,DNB『ジェントルマンズ・マガジン』LVIII p.586の同様のエピソードに言及した上で,ウイリアム・ブレンコウの任官は祖父ジョン・ウォリスの跡を当然といった形で継いだとして疑問を呈している.(『ジェントルマンズ・マガジン』の投稿者はウォリスの説明と違うことは認識しつつ,親族の間での言い伝えとして語っている.投稿者P.T.はシックネス本人かもしれない.)なお,存命中のウォリスがブレンコウの実績を国王ウイリアム三世に訴えて両名が共同の俸給を受けられるようになったという事実はある(別稿参照).

シックネスはオーストリア継承戦争中にメドレー提督の地中海艦隊に配属されており,ジブラルタルでの自らの観察に基づいてスペイン軍の秘密通信に触れ,それを妨害しなかったジブラルタル総督の無能をこきおろしている(p.31〜).

秘密通信手段をもつ利点を説く際にはデンマーク王妃の境遇に触れている(p.86).ちょうど本書が刊行される年の1772年1月,デンマーク王妃となっていた英国王ジョージ三世の妹キャロライン・マティルダが不義のかどで逮捕され,4月に離縁されるという一大スキャンダルが起こった.これは不義の相手が断行した国政改革への反発という政治的側面もあり,精神を病んでいたデンマーク王は以後は名目のみの君主となった.キャロライン・マティルダは生涯幽閉の身になるところだったが,イギリスが王妹の処遇に関して強硬な態度に出たため5月末にようやく解放されたといういきさつがあった.(2013年に日本公開されたデンマーク映画『ロイヤル・アフェア 愛と欲望の王宮』がこの事件を扱っているらしい.)

執筆中に友人から寄せられたという暗号(p.90〜)はシックネスの言うとおり初歩的なものだが,英語の文章をフランス語の単語を使って綴るという点が面白い.だが英語のままの単語も多く,その点ではリリアン・デ・ラ・トーレの短編小説「盗まれたクリスマス・プレゼント」の暗号のほうがよくできている.

フィリップ・シックネス『暗号解読および暗号記法の技術に関する論考』のテキスト

Internet Archive

Google

まえがき

長い間暗号通信は他人にはわからないと信じられていたが,鍵がなくても暗号の手紙を入念に調べれば解読できないことはほとんどない.しかも,解読者が理解できない言語で書かれていても.

筆者の遠縁のブレンコウは解読官として政府から固定給与を得た最初の人物であった.遠縁にその職を与えた大臣の名前や事実関係は忘れてしまったが,遠縁が固定給のそのような職があると聞くと,紹介状もなしに当時の国務大臣に会いに行ってそのポストを求めた.大臣は見ず知らずの男から通常の手順も踏まない要求を受けて,どういうつもりだと問いただしたところ,遠縁は私にはその資格があるからですと答えた.

すると大臣は,人材がないため机の上に放置されていた二通の手紙を解読できるかと尋ねた.おそらくその手紙が解読官を設ける決意につながったのだろう.数日後,手紙はきちんと解読されて返されたので,遠縁はポストを得ることになった.今日では暗号解読も暗号記法も非常に一般的になっているが,それでも学識のある人でも暗号解読ができることを疑い,解読者がもっともらしいことをでっちあげていると考える人に会うことがある.そこで,暗号解読ができることを示すのみならず,それを疑っている人でさえ数時間,いや数分のうちに,読み手が見たこともない24の記号の暗号〔単換字暗号〕で書かれた手紙を読めるようにしようと努める.(p.viii)

これは最も簡単な暗号記法.暗号解読について考えたことのない人は最初は非常に難しいと思うが,数時間のうちにこの一見秘術的な技法に驚くとともに満足する.すでにやっている人に指導するほど僭越ではないが,疑っている人や頭の体操を求めている人を導くつもり.(p.ix)

暗号記法の知識が悪用されうると異を唱える向きには,暗号なしに文字で書くことも同じだと答えたい.書くことができなければ偽造もできない.だが不正な心根の人は強盗だってできる.(p.x)

暗号解読の技法に関する論考(p.11)

[第一章] (p.11)

奪取された手紙が暗号で書かれていても,少なくとも何か隠しているということはわかる.(p.12)

どんな巧妙な暗号でもじきに解読されてしまう.

暗号に関する論考を出版する是非については結論を下す立場にないが,それが有益であると信じた理由は,フランシス・ベーコンが『学問の進歩』で暗号解読の技術が望まれていると述べ,これまで考案されたうちで最も巧妙な暗号記法の一つを与えていること.(p.13)

トリテミウスは『多記法』において母語しか理解しない人がラテン語で書かれた手紙の意味を理解できるようになると述べている.これは厳密には正しくないが,暗号解読の規則に通じれば,英語しか理解しない人でもラテン語の暗号で書かれた手紙をラテン語に直すことはできる.(p.14)

この種の技法は政府関係者や将軍以外に知られるべきではないとの考えもあるが,一介の歩哨が奪取した手紙を解読することによって軍や都市を救ったっていいではないか.

偉大な計画は突然の行動を要求する.暗号が解読のためにまず将軍に,それから国務大臣に運ばれるとしたら,解読できるより先に致命的な事態が先行してしまうだろう.(p.15)〔このあたりは『クリプトメニシス・パテファクタ』の序文と同じ論法.〕

暗号解読の技法は,ここ100年または130年という最近でも,魔術に属するとされてきた.

秘密記法の起源は非常に古い.(p.17)〔このへんは『マーキュリー』と同様のこれまでの著者の紹介.〕

[スキュタレー]

本稿はスパルタのスキュタレーから始めれば十分であろう.(p.18)

棒に細長い羊皮紙を,端をくっつけながら巻く.隣り合う端と端に文字が半分ずつになるようまたがって文章を書いていく.

羊皮紙を解くと両端に文字の断片があるだけなので読めない.(p.19)〔※ウィルキンズ『マーキュリー』に倣った説明であり,Wikipediaなどにある一般的な説明とは異なっていることに注意.〕

だが解読法はいろいろある.スカリゲルがいうように,紙片を巻いてみて分断された最初の文字がつながるようにすれば棒の周長が判明する.もっと簡単な方法は,細長い羊皮紙を,両端にある分断された文字の真ん中で半分に切って,机の上で並べてみれば完全な文字が現われる.

[シーザー暗号]

シーザー暗号はaをdに,bをeになどとするもの.

これだけでも未熟な解読者は,文字の本来の音価に惑わされて,新規な記号を使った暗号以上に戸惑う.(p.20)

高位の女性から受け取った記号暗号があるが,素人はaからzの順に記号を考えていくので,最初のほうに簡単な記号が集中する傾向がある.(p.21)

高頻度の文字が母音,特にe.単語の先頭に同じ記号の並びがあればLloyd, Llandaff,Aaron,Eel,Jilt,Vultureなど〔当時アルファベットのIとJ,UとVは区別されないことが多かった〕.等々.(p.22)

第二章 (p.26)

[アーガイル伯の暗号]

アーガイル伯の語転置(別稿(英文)参照)は当時解読不能と思われたが,私は多くの解読法を見たことがある.最も簡単なのは固有名詞の共起に着目すること.

そして等間隔のものがあれば,その間隔から列数がわかり,これで終わり.これはフォークナー(別稿参照)が記述するものよりずっと簡単で確実.(p.28)

[ベーコンのおとり換字表]

フランシス・ベーコンは冗字の挿入により疑惑をそらす方法を述べている.(p.29)

異なる記号を使った換字表を2セット用意しておく.一方〔真の換字表〕は真の文字を暗号化するのに使い,もう一方〔おとり用の換字表〕は無意味な文字を暗号化するのに使う.両方の暗号文を混ぜておく.使者が捕まって追及された場合,おとり用の換字表で解読して,真の換字表の記号は冗字ということにすればよい.

この方法は公表により使えなくなった.換字表がなくても解読は可能である.二通りの換字表が使われれば,記号の数でわかってしまう.(p.30)

[トリテミウスの著作について]

トリテミウスはボスティウスへの書簡〔1499; 執筆中の著作『隠蔽記法』(Steganographia)について述べた手紙だが届く前にボスティウスが没し,その内容が公表された;『多記法』(Polygraphia)という別の著作が1518年に刊行されるが,『隠蔽記法』はトリテミウス死後の1606年まで刊行されなかった〕で多くの超常的な秘密伝達法について述べており,手稿は焚書となった.だがトリテミウスの手法は,トリテミウスが疑われた超自然的な補助がなくても実行できる.

トリテミウスいわく,第一巻は疑惑を招くことなく,文字の入れ替えもなしに,発見の恐れのない秘密記法を百以上含む;私から方法を教わらない限り誰も私の手紙の意味を知ることはおろか,想像することもできない.

だが少し考えれば誤りだとわかる.トリテミウスは火を使って百マイル彼方にも情報を伝えられると述べているが,戦時にはこの種の連絡はスペイン人がSt. Roak(ジブラルタル付近の高地)で毎晩実施している.カディスの総督にジブラルタル湾に在泊している軍艦の数やその動向を伝えるためである.(p.31)

[ジブラルタルを監視するスペイン軍の秘密通信]

ハーグレーヴ将軍〔ジブラルタル総督: 1740-1749〕はスペイン側の情報活動を妨げるより金を得ることに汲々としていた.スペイン人が連絡するのと同時にジブラルタルの頂上で同種の光を出せばスペイン人の通信は破綻していたはず.なのにイギリスが〔スペイン継承戦争で〕この重要拠点を保有して以来,どの戦争でもこれはスペイン人の不断の慣行であった.サックス元帥〔フランスの元帥;オーストリア継承戦争で活躍〕やジョージ・ジャーマン卿〔オーストリア継承戦争時のイギリスの将軍;のちにアメリカ独立戦争時代に植民地担当国務大臣〕が当時ジブラルタル総督であったなら, カディスのスペイン人はSt. Roakから通常の使者によるほかは何の情報も得られなかっただろう.(p.33)

何週間かにわたって毎晩スペイン人が示す光を,各光の間の時間間隔とともに書き留めたところ,火を使った文字により情報を伝えていると確信した.だがスペイン語を知らなかったし,総督に伝えた場合の軍法会議や罷免がこわかったので,無知無能なやからが手を出せない安全な今日まで言わずにおいた.

スペイン人は光によって文字ばかりか数字も表わした.湾内の隻数だけを表わすときは,二つの光が10,四つなら20などを表わしうる.全艦隊が海峡から出ることは一つの継続的な火によって示されうる.これはよく見た.地中海を上ることは二つの火.この種の情報は,総督が私腹を肥やし,部下を悩ます半分の労力でも祖国のために使えば,防ぐことができ,カディスのスペイン軍に誤った警報を与えることさえできたはず.(p.34)

[トリテミウスの著作について・2]

トリテミウスはさらに,厳密な監視下にある地下三マイルにいる虜囚にも意思を伝えることができると述べている.(p.35)

ガスパール・ショットら多くの者は無用な時間をかけてどうすればそんなことができるのかを見出そうとしている.だができるとしたら地中か地上で音を出すしかない.トリテミウスは磁力によるものと考えていたのかもしれないが,今では長距離では実施不能であることがはっきりしている.(p.36)

[疑いを招かない通信法]

今日,秘密情報の技術で重要なのは,疑いを招かないこと.

ひもにたくさん結び目をつけてそれを小包のまわりに巻いて送る(後述).音符を使ってもよい.いずれもウィルキンズが言及している.ウィルキンズは音符を使った暗号の短い例を挙げているが〔第18章〕,拍子も調和(harmony)もないので疑いを招く.(p.37)

結び目をつけたひもや白いひもにインクで印をつける方法は連絡の実行に使ったことがある.最も単純な方法としては,定規のような木片を24の等間隔に分け, a-zを書いておく.メッセージを表わすには,文字に従って結び目をつけたりインクで印をつけたりしていく.だたいったん疑われたら解読は容易.ウィルキンズも述べている方法だが,私自身の確かな知識として実施可能である.数年前,ハリッジの紳士が紙に包んで結び目をつけたひもを,何らかの情報を表わしているというほかは鍵も手がかりもなしに送ってきたが,まもなく解読した.ハリッジとオランダの間の郵便物の一つがオランダ沿岸で投棄されると知らせるものだった.(p.38)

ウィルキンズは読唇術について触れているが,異なる発音が同じ唇の動きになるので不可能.生まれながらの聾唖者に,書くことを教えることはできても,話すことを教えるのは不可能.(p.40)

途中で視力を失った人に明瞭に書くことを教える方法.(p.41)

第三章(p.43)

[音符暗号1]

ウィルキンズは音色や音符からなる言語についての章〔第18章〕で,この目的のために使われる楽器が音程だけでなく時価も表わせるなら〔つまり,らっぱならよいが太鼓ではだめ〕,各文字を一つの音で表わせる;そうすれば旋律だけからなる言語を構成できる.このような話し方は〔フランシス・ゴドウィン(Francis Godwin)の作中の人物〕ドミンゴ・ゴンザレス(Domingo Gonsales)が発見したように月の住人の間で使われていると空想されている,と述べている.

だが,ウィルキンズの例は 調和(harmony)も拍子もなく,何も意味がないか,秘密が偽装されているとすぐわかる.そこで,音楽家でさえも暗号だとは気づかないような音符を使った暗号を紹介しようと努める.音楽家は(実はこれがしばしばそのねらいなのだが)女性の教え子に楽器を教えるばかりでなくふざけることも教える.ひとたび教え子に音楽アルファベットを仕込んだら,教え子は音楽家に秘密の連絡をすることを許し,音楽家は彼女に日々レッスンを送ることができる.教え子は生涯学んだことを悔いるだろう.(p.44)

巻末に譜例がある.音楽家はおかしいと思うだろうが,Goldsmithの詩Deserted Villageの一節Near yonder copse where once the garden smil'd, / And still where many a garden flow'r grows wild.を伝えているとはわからないだろう.(p.45)



四分音符と二部音符だけがアルファベットをなしており,フラットやシャープ,中間の小さな音符は読みには関係ない.〔※八分音符も読んでいる模様.〕

こうして音符により言葉が伝えられると,歌を歌う女性にとって好都合だ.音楽家どうしなら,少し練習すれば楽器で連絡ができるだろう.七通りの音はa,b,c,d,e,f,g〔ラシドレミファソ〕が決まっており,そのどれかは聞けばわかるので,あとはアルファベットの残りの文字に対応する音を決めておけばよい.(p.46)

これは私が実際に見たことのある指話法以上のものではない.(p.47)

[フランシス・ベーコンの二文字暗号]

フランシス・ベーコンのomnia per omnia〔万事をもって万事を表わす暗号法〕〔別稿参照〕

[暗号の知識の普及と世襲]

この方法はこれまで考案されたどれよりも巧妙だが,かの偉人によって公表されてしまった.だがベーコンは法務総裁だったとき,Sir Thomas Overburyの毒殺に関するサマセット伯の裁判で暗号の使用を罪の加重事由としている.両名の親密さに触れて「両名は国王や王妃,あらゆる高位の人物に対する暗号およびジャーゴンを有しておりそれらは君主や大使,使節によってか,君主に反するか少なくとも君主に対する所業によって以外はほとんど使われないものである.」だが秘密通信の手法は公表されるべきではないだろうか.(p.50)

アーガイル伯の暗号(別稿(英文)参照)をすぐ解読できる者がいなかったために,多大な時間が失われ,国王の生命さえも危険にさらされた.だがそれらの暗号は今なら数時間で解読できるだろう.現代の人のほうが賢いというのではなく,暗号についてよく考えている人が多いためである.私は解読者の息子はたとえ教授を受けていなくても,同じ能力の他の人よりは父の解読技術をよく習得すると考えている.だからバース・アンド・ウェルズ主教〔1716年以来解読官だったエドワード・ウィルズ(Wikipedia)のこと;主教になったのは1743年;Kahn p.171によると1742年に息子エドワード・Jr.が解読官に〕が自分のポストを息子に振り向けることで責められる筋合いはない.(p.52)

私はかつてニューファンドランド犬を飼っていたが,初期の教育を軍艦上で受けて多くの芸を仕込まれた.(p.53)その子犬は教えられなくても父の芸を受け継いだ.(p.54)

最も難しいフランシス・ベーコンのomnia per omniaについて述べたから,あとはウィルキンズ,フォークナー,ショットらが扱っている他の若干の方法を手短に述べるにとどめる.その多くは書くのと同じくらいの速さで読まれるだろう.(p.56)

第四章 (p.56)

[グロンスフェルト暗号]

ガスパール・ショットがグロンスフェルト伯から教わって伝えているものは上記の解読法〔頻度分析〕の対策になる.

キーワードの数字を繰り返して記すことにより平文の各文字に規則的に数字を割り当てていき,割り当てられた数字のぶんだけ文字をずらす.〔グロンスフェルト暗号〕

解読するには,キーワードの数字の桁数を(いろいろ仮定することにより)推定.暗号文の上に順に数字を(123123…のように)書いていき,同じ数字が同じ文字に対応している例をみつけていく.それは常に平文の同じ文字を表わす.

このような点に注意すれば一部の語を特定することができ,それを手がかりに残りも解読できる.

文字のずらし方向は前後両方とも検討すべき.

[転置]

文字を左上から下へ,次に下から上へ,というように書いていけば少し惑わすことができる.これは中国語の書き方だと言われている.〔!〕(p.60)

[頻度分析対策]

一般に暗号文が長いほど解読しやすい.次の例はアルファベットの3分の1しか使っていない.1字ずらすシーザー暗号.文法的にはよくないが,意味はなしている.

〔シックネスの暗号文の例(p.62)は文字をずらす方向を間違えるなどの誤りが多すぎて意味をなしていないように思われる.おそらく次のような平文を意図していたのだろう.このような人工的な文章ならeを使わないなどして頻度分析を難しくすることができる.
I would if I could but I could not. And if I could not, how could I? I could not without I could. Could I? Could you?(できるものならやりたかったができなかった.できなかったとすればどうしようもないではないか.できない以上できなかったのだ.私にできただろうか?あなたならできただろうか?)〕

[オープンコード]

開封の手紙で秘密情報を伝える巧妙な方法を見たことがある.(p.62)

各行の左半分だけを使って伝えたい文章を書き,各行の右半分に適当な単語を入れて全体として全く別の文章にする.〔フォークナーp.72と同じ例文〕(p.63)

上記の方法は,しばしばよく知らない人の推薦状を依頼されたローマの元老院議員らが使った.(p.65)

言葉を使わない合図やジェスチャーによる秘密情報については,フランシス・ベーコン〔『学問の進歩』第二巻16.2〕は言っている.概念の多様性を表わすだけの十分な数の区別ができるいかなるものでも,考えを伝えることができる.

そのすぐ後〔ibid. 16.3〕ではこう言っている.言葉・文字なしで物事を表わす符号には一致によるものと協定によるものがある.(p.66)

ガスパール・ショットは,秘密の単語を,無意味な単語を使って疑いから守る方法の例(ラテン語)を述べている.

表面上の文章のうち,生物に関する語の直後の単語のみが意味をなすというもの.フォークナー(別稿参照)は同じ方法の英語の例を挙げている.(p.67)

[音符暗号2]

同じ方法〔開封の手紙で秘密情報を伝える方法〕は音符によって行なうこともできる.それも作曲の知識は必要ない.そのために音符による換字表を用意する〔上記参照〕.

どんな曲でもいい(いろいろな音符が出てくる曲ほどよい)ので五線紙上に筆写する.ただし,一段おきにブランクを設ける.たとえば低音部を空欄にするなど.換字表に従って秘密のメッセージの文字に対応する音符を探す.それ以外の文字は冗字とマークする(低音部に休符を書く).通信相手は低音部に休符がない部分だけを読む.読む部分は別の音符を低音部に書き込むことによって示してもよい.別の音符が高音部の音符より3音下であれば, 調和し,音楽を理解する者以外には疑いを招かない.音楽を理解する者でも,レディ・コヴェントリーのメヌエットがグロスヴナー・スクエアでの逢引の約束を表わすとは疑わないだろう.あるいは,冗字の下に休符を書くと休符が非常に多くなるので,読むべき文字の下だけに休符を書くようにしてもよい.そうすれば低音部は〔休符以外のところを音符で埋めるので〕高音部と同じくらい密になり,両方の行が秘密情報を隠しているように思われるので解読者を一層困らせる.高音部で〔有意の〕文字〔を表わす音符〕の間隔が非常に広い場合,低音部で補われてもよく,その場合,対応する高音部の音符の近くに付点などの音楽記号を付けることによって表わせる.(p.70)

このような暗号の手紙は優秀は解読者をも惑わせる(p.71).

だがこれは,完璧な方法というよりは,この種の暗号が完全に使用できる仕方の示唆でしかない.優秀な作曲家ならどんな一般的な手紙でも,高音部と低音部を使って,冗字の音符が非常に少なくなるように書くことができると確信している.あるいは,文字を表わす四分音符または二部音符すべてが旗を下向きにして書かれ,冗字については旗を上向きにして書かれる.楽譜の外観は若干不恰好になるが,秘密の暴露につながるようなものではない.実施可能だと思う手法は,優秀な作曲家が調和アルファベットを考案すること.すべての音符が文字を表わし,耳に対して完璧に調和するとともに,歌の単語を目に対して完璧に担うようにする.調和アルファベットの作曲家は最も頻繁に使われる音符をアルファベットに含めるよう配慮するべきである.それらは思うに五線上またはその線間にある.だがa, b, c, d, e, f, gを表わすことが周知の音符〔ラシドレミファソ〕がその本来の場所を保つことは避けるよう注意しなければならない(p.72).

解読者が自信をもって解読することはまず不可能だろう.この方法は公表されなければ,最も疑われにくいものだったろう.使者のタバコか何かを包んでいる歌詞のない古い歌が秘密を担っているとは思われなかっただろう.使者が賄賂や脅しを受けたとしても,その楽譜をかくかくしかじかの特定の人物に届けるよう命じられたという以上のことを明かすことはできない.(p.73)

最初は音符がどの文字を表わすかを覚えるのが難しいと思われるかもしれない.私もそう思ったこともあったが,アルファベットを作成してみるとすべての文字が頭にはいっていた.記憶力はいいほうではないのだが,

家族内で試してみたところ,2〜3度書いてみれば覚えられることがわかった.(p.74)

ウィルキンズは音が概念を表わすようにすれば,あらゆる国の人が話すことのできる一般言語ができるかもしれないと述べている〔『マーキュリー』第18章〕.だがこの普遍言語は,ウィルキンズが作り出そうと努めたことのある空飛ぶ馬車〔『マーキュリー』第4章で言及〕と同様,お蔵入りになるのではないかと思う.

[古い言葉の解読]

なぜエジプトのヒエログリフを解読できないのかと尋ねられると,宗教的礼拝の儀式や神秘について十分に知らないためかもしれない.(p.75)

古代のヒエログリフが現在のもの〔ボルトが大酒樽を貫く図案がBoltonを表わす類〕以上の技巧をもつものでなければ,それを理解しようと過剰に努める必要はない.

我々の言語で書いたものの例を求めて数百年さかのぼれば,たいていは解読が必要になる.(p.76)

〔古い英語で書かれた「主の祈り」の例.〕(p.77)

ここでほとんど知られていないが,軍を集め,王国を救った英単語を復活させたい.

ウイリアム二世に対する危険な反乱があり,ロチェスター城が反乱軍によって維持されたとき,国王は我が陣営に馳せ参じることを怠る者はNidingsと評判されるべきであるとの宣言を発した.すると王国のあらゆる部分から兵が集まり,そのあまりの数に反乱軍は恐れをなして降伏した.この一つの単語(Niding〔臆病者のような意〕)は今では失われているが,王国を救ったのである.(p.78)

第五章(p.78)

[音符暗号3]

図版〔上記の2番目の譜例〕に調和アルファベットによる秘密の手紙の見本がある.すべての音符が文字をも表わしている.そのような制約を付けると一応楽譜の体裁を取っているという程度になってしまい調和のない楽譜の絵になってしまうが,楽譜を理解しない者には怪しまれないし,楽譜を理解する者でも多くは怪しまない.

怪しんだとしてもへたな作曲と思うだけだろう.よって,この方法は,他のいかなる秘密記法よりも,怪しまれないという点で好ましい.(p.79)

旅の楽士なら楽譜帳をポケットに入れて怪しまれずに包囲された都市に出入りできる.その中の一曲を選んで特定の人物に渡してもらうようにするぶんには,楽士は秘密を暴露することはできない.疑いが生じたとしても,解読者は多数の楽譜のうちどれが秘密情報を隠しているかはわからない.

解読者は,最も不自然な作曲を見つけ出すという音楽の素養が求められる.そこで,その心配をなくし,一層疑われにくくするため,第二の図版では真の作曲の規則に従った高音部と低音部からなる曲を与えてある.この図では,間を埋め,調和(harmony)を完全にするために多数の冗字音符がある.通信相手は旗が上を向いていることで冗字を知ることができ,高音部と低音部から下向きの音符だけを拾って読む.(p.80)


だがこれでは旗が通常とは逆を向いてしまうこともある.(p.81)

この方法を一層秘密にするために,高音部の下に非常に薄い低音部を配置し,有効な音符の一部の下に休符などを置き,他の有効な音符は火にあぶったり水に浸したりしなければ見えないような液体で記す.これで秘密に到達するのは非常に難しくなるが,優秀な解読者はあきらめないだろう.

私が秘密の手紙を送る必要があるとしたら,全く言葉を付さないよくできた調和暗号による作曲が最も安全だと思う.月日を明記する必要がある場合は速記の一種を使って行なえばよい.手紙の先頭にDear Sirと書いたり,末尾にyour humble servantと書いたり,年月日と書いたりするのは暗号であっても非常に危険だ.そうした単語は解読者が真っ先に調べるものなのだ.よって,そうした手がかりを与えるのを避けるため,月日を書く場合は,クエーカーの秘儀によるのがいい.五線の最初の12本の線を1年の12の月を表わすと考える.次いで1日から31日までの日付を数える.したがって,4月8日付けにしたければ,上図のように,最初の音符より前で4番目の線の小さなドットが第四月を表わし,8番目の線にまたがる小さなダッシュが8日を表わす.そして1番目の線から12番目の線の小さなxが時間を,oは夜の時間を表わす.

この図のようなセンテンスが数行の楽譜で書ければ,長い手紙はイタリアのアリアの範囲内で簡単に収まる.そこそこの長さのどんなイタリアの楽曲でも,旗を正しく上下に向ければ,ここで挙げた例に従って,手紙の媒体にできる.さらに,優秀な作曲家なら同じ記号によって一層簡単に言葉と調和を伝えられる.私自身はそこまではできないので,A--e博士に助けを乞うた.(p.83)

博士は間違いなく優秀な作曲家だが,全く音沙汰がないところを見ると,私が提出したものを理解できなかったようだ.〔私の依頼が〕非常に丁寧な言葉だったことは確信している.(p.84)

博士の無沙汰で昔,旅の道連れがソールズベリー平原で会った羊飼いにした質問を思い出した.羊飼いは質問の意味がわからなくても平然と自分なりに答えた.

私が息子でなく父に依頼したのがなぜかというと,息子に頼んだら私の娘の音楽教師に雇うことを期待されたかもしれないが,彼の態度が好きでないのだ.

いずれにせよ,優秀な作曲家なら,すべての音符を有効にするばかりでなく,調和アルファベットによって高音部と低音部にそれぞれ異なる手紙を書くこともできる.そのように書かれた調和暗号の手紙は,書き手を法廷で有罪にするほどの確実さをもって解読することは容易にはできない(特に冗字音符が使われるときは).(p.85)

だがこの方法を指摘したことで社会に害をなしたとは思えない.悪用だけでなく善良な用途もあるからである.ある一派がデンマーク王妃の夫君たる国王を退位させて王妃の自由を奪い手紙も監視すると仮定する.彼女の夫たる国王〔デンマーク王〕か兄たる国王〔英国王ジョージ三世〕が彼女に保護を約束したいが,そのような情報を届けることができないとする.王妃が調和アルファベットを持っていたら,簡単に兄の国王は普通の言葉で愛情あふれる手紙を書き, 気を紛らすためにちょっとした曲を送る.衛兵隊長もクローネンブルグ城〔クロンボー城〕の長官も情報を伝えるものだとは疑わないだろう.だがまもなく艦隊が現われて彼女を監禁から救うと伝えるのだ.たとえ疑われたとしてもデンマークの解読官が情報を引き出す前にイングランド艦隊がバルト海に到着するだろう.(p.87)

よって,外国にいる大使や外国に嫁いだ王女は音楽アルファベットをもつべきである.だが現在使われている方法は明らかに暗号とわかるものを使い,長く使われていた方法であり,その鍵はヨーロッパの君主のほとんどが有していると思われる.(p.88)

調和アルファベットは最も疑われない方法だ.いやこうして公表した以上,最も疑われない方法だったというべきだろう.だがウィルキンズ『敏速なる使者』フォークナーの秘密情報論はいずれも巧妙な著作であり,何年も前に公表されたが,知っている者は一握りである.だから私の著作も自国の少数の者を利するが,他の者に悪用されることはないだろう.(p.89)

私が扱った主題の多くは,ほとんど入手不可能なこれら二名の著作から借りている.ウィルキンズは音符による記法を示唆しているだけで,この方法に言及したのは彼だけだと思う.(p.90)

[記号暗号]

本書執筆中,それを知っている友人が暗号の手紙を送ってくれた.エチオピアとエトルリアのアルファベット〔単に解読不能な記号という意味だろう〕で書かれていたのだが, より難しくするために,単語がフランス語になっていた.だが,英語流に発音すると英語の文章になるというものである.彼女は解読できまいと思っていたようだが,同じ暗号で返事を届けてやった.その解読はたいしたことではないが,暗号法が変わっているので,読者の楽しみのために第三図に掲げておく.初心者が変わった記号を使うほど難しくなると考えるのは奇妙な誤りである.ローマの将軍のような文字の変更も秘匿度は同じくらいである.(p.91)

Sur, as yeux air il, doux comme & change the climat: here, yeux mai have game, fiche, duc, fat mutin, foule, porc, aile, port, fruit, & admirable menchette and butter; an mi sistre (a joli nymphe) tu chat tu yeux, & singe yeux an ode, tu the lute, or violin: yeux canne have a stable for ure hors, an a place for ure chaise. Mi son met a physician neer the river, tisse a fatal signe! the sai, the pour Docteur dos grive about the affaire, oing to the rude Squire: but pardon mi long lettre, pre doux comme tu us about mai, if yeux canne: mi service tu ure niece: houe dos Raffe doux? adieu mi friend
********
Pre doux comme for ure pour nenni seize but feu beaux.

〔普通の英語で書くと次のような感じだろう.
Sir, as you are ill, do come & change the climate: here, you may have game, fish, duck, fat mutton, fowl, pork, ale, port [wine], fruit, & admirable manchet and butter; and my sister (a jolly nymph) to chat to you, & sing you an ode, to the lute, or violin: you can have a stable for your horse, and a place for your chaise. My son met a physician near the river, 'tis a fatal sign! They say, the poor Doctor does grieve about the affair, owing to the rude Squire: but pardon my long letter, pray do come to us about May, if you can: my service to your niece: how does Raffe do? Adieu my friend.
********
Pray do come for your poor Nenny sees but few beaus.

彫版工が暗号家でないので図版にいくつか誤りがある.(p.93)

だが暗号実務ではそのような誤りはごく一般的で,解読者はすぐ気がついて訂正できる.(p.94)

第六章 (p.95)

秘密通信のいくつかの方法を追加しておく.

[通信文の存在を気づかれない技法(ステガノグラフィー)]

マキアヴェリは『戦争の技術』(英語版)第七巻で述べている.「伝えねばならないことを刀の鞘の中に書いた者もいた.手紙を練り粉に入れて焼き,道中の食料として使者に渡したり,使者の犬の首輪の裏に隠しりした者もいた.普通の商用文を送り,その行間に水につけたり火にあぶったりしないと見えない組成液で書いた者もいた.」

そして同時代のこととして,包囲された町に住む味方に秘密を伝えるため,破門状を送り,上記のように行間に書き込んだと伝えている.破門状は教会の扉に打ち付けられたが,まもなく外され,特定の記号で誰から来たかを知った者によって完璧に理解された.〔※シックネスは下記でこの方法はあぶり出しインクで単にメッセージを書くのではなく,点を打つことによってメッセージを伝える方法だったというフォークナーと同様の説を挙げている.この引用では「上記のように」と書いてある以上,単にあぶり出しインクで書いたというだけではないかと思われるが,マキアヴェリの邦訳2点を見たところ,「現在ではさらに巧妙になっている」とされている.だから単なるあぶり出しインクではないとする下記のような推理が成り立つのだろう.ちなみに,この「破門状」(letters of excommunication)の部分は単に「通信文」(communications)としている日本語訳・英語訳もある.〕

スキュタレーはギリシア正教会で司祭が持つ,祈祷文などを書いた細長い羊皮紙を巻きつけるkontakion (Wikipedia) の起源になったと思われる.(p.99)

ポルタは本の小口やカードの縁に書く手法を紹介している.ページの束を端が離れそうになるまで反らせて〔小口に〕メッセージを書くだけ.解読するには疑ってみさえすればよい.(p.100)

カードの場合はもう少し難しいが,連続するカードの印はほぼ同じ位置のはずなので,そのようなカードをさがしてつなげていけばよい.

ベイカーの年代記〔Sir Richard Baker (c. 1568-1645)による英国王の列伝 Chronicle of the Kings of England (1643)〕 に出てくるFrostは杖に隠して手紙をイングランドとスコットランドの反逆者の間で運んだ.(p.101)

古代ギリシアで使われた方法もある.

この種のものは無数にあるが,みな取るに足りないもので,実用というようり娯楽向きなので,これ以上は挙げない.(p.102)

上記の破門状に秘密の情報を隠した方法は次のようなものだろう.

まず,各文字に数字を割り当てておく.

次に,どんな言語でもいいので普通の商用文などを用意する.

通信文の第1字に割り当てられた数字が3だったら,商用文の3文字目に印(点など)を付ける.第2字に割り当てられた数字が6だったら,そこから6文字目に印を付ける,などとしていく.点は火にあぶったり水につけたりしないと見えないようにしてもよい.

解読するには,印がついているのが何番目の文字かを順に書き出していけば,単なる単換字暗号に帰着できる.

[その他の通信手段]

瓶に音声を保存できるという笑うべき話がある.(p.106)

ローマのセウェルス帝はイングランドの北をカーライルからタイン川に及ぶ城壁で固め,適当な間隔で設けられた見張り小屋の間を管でつないで敵が来たら城壁の各所に連絡できるようにしたという.(p.107)

アルベルトゥス・マグヌスは話す彫像を作り,〔弟子の〕トマス・アクィナスが壊したが,これは秘密情報のためではない.

速記は秘密記法の分野ではないので言及には及ばないだろう.(p.108)

ローマでは略語も使われたが,数が増えすぎで混乱を招き,ユスティニアヌス帝は略語を廃止した.西暦のA.D.はその名残り.(p.109)

結語(p.110)

[暗号解読の心得]

暗号を解読するには世界のどこから発信されたかを考え,言語を推定する.東洋の言語は右から左に書くものもあるので注意.(p.111)

[書籍暗号]

鍵なしでは解読できないような方法もある.書物を決めておいて,何ページの何行目という形で単語を伝える.(p.112)



©2012 S.Tomokiyo
First posted on 4 October 2012. Last modified on 27 April 2013.
Articles on Historical Cryptography
inserted by FC2 system