パリ条約(七年戦争の講和条約, 1763)

(歴史文書邦訳プロジェクト)

パリ条約(パリ講和条約): Treaty of Paris, Peace Treaty of Paris
1763年2月に締結された七年戦争の講和条約.フランスは北米植民地をすべてイギリスに割譲,スペインもフロリダをイギリスに割譲した(フロリダはアメリカ独立戦争終結時にスペイン領に戻る).インドでもイギリスの征服が確定し,イギリスは押しも押されぬ世界帝国となった.数日後,プロイセンとオーストリアもフベルトゥスブルク条約によって講和した.

英国国王陛下,フランス国王,スペイン国王の間の平和と友好の本条約.一七六三年二月十日,パリにて締結され,同日,ポルトガル国王も参加する.

最も神聖にして分かつことあたわざる三位一体,父と子と精霊のみ名において.かくあれかし.

いかなる形であれ必要であるべき,または必要であるかもしれないすべての人々に知らしむべし.

神のはからいにより,その不和が四大世界〔ヨーロッパ,アメリカ,アフリカ,アジア〕に争乱を広めることとなった君主らの間に融和と協調の精神が広まり,長く血なまぐさい戦争という不幸に代わって平和の安逸をもたらさんとする性向が生じた.その戦争は最もやんごとなく最も力ある,神の恩寵により大ブリテン国王たり,輝かしい追憶の中にあるジョージ二世の御代にイングランドとフランスの間に起こり,その継承者,最もやんごとなく最も力ある君主であるジョージ三世の御代に続き,そしてその過程においてスペインおよびポルトガルへも波及したものである.この結果,最もやんごとなく最も力ある君主,神の恩寵にして大ブリテン,フランス,アイルランドの国王,ブラウンシュヴァイク・リューネブルク公爵,神聖ローマ帝国の筆頭財務官にして選帝侯であるジョージ三世,最もやんごとなく最も力ある君主,神の恩寵によりフランス国王たるルイ十五世,そして最もやんごとなく最も力ある君主,神の恩寵によりスペインおよびインディアスの国王たるカルロス三世は前年十一月三日にフォンテーヌブローで調印された予備条約において平和の礎を据えたのちに,そして最もやんごとなく最も力ある君主,神の恩寵によりポルトガルおよびアルガルヴェ〔ポルトガル南端の旧王国〕の国王たるドン・ジュゼ一世はそれに加わったのちに,遅滞なくこの大いなる重要な偉業を完成させるべく決意した.この目的のため,締約国はそれぞれの特命大使および全権使節を指名し,任命した.すなわち,神聖なる英国国王陛下からは最も高名にして最も秀逸なる領主ベッドフォード公爵および伯爵,タヴィストック侯爵等々,副大臣,陸軍中将,王璽尚書,ガーター勲爵士,そして陛下のフランス国王陛下への特命大使および全権使節であるジョン,神聖なるフランス国王陛下からは最も高名にして最も秀逸なる領主,プラスラン公爵,フランス貴族,勲爵士,陛下の陸軍およびブルターニュの中将,陛下のすべての評議会の評議員,そして国務大臣,陛下の尚書局長および財政大臣であるセザール・ガブリエル・ド・ショワズール,神聖なるスペイン国王陛下からは最も高名にして最も秀逸なる領主,グリマルディ侯爵,フランス国王陛下の勲爵士,スペイン国王陛下の官房付き侍従勤務で陛下のフランス国王陛下への特命大使であるドン・ヘローム・グリマルディ,神聖なるポルトガル国王陛下からは最も高名にして最も秀逸なる領主,キリスト騎士団の誓約した騎士,ポルトガル国王陛下の評議会議員であり,陛下のフランス国王陛下への大使にして全権使節であるマルティン・ド・メロ・カストロである.
これら代表は互いに正式に有効なる全権委任状(その文面は本平和条約の末尾に転写されている)をやりとりしたのち,各条項に合意した.その文面は以下の通りである.

第一条〔講和と免責〕
陸上および海上においてキリスト教的な全般的にして恒久的な平和が来たるべきであり,誠実にして変わらぬ友好がイギリス,フランス,スペイン,ポルトガルの各陛下の間,そしてその世継ぎおよび継承者,王国,属領,属州,領国,臣民,封臣の間に,その地位と条件とを問わず,いかなる土地や人物の例外もなく再び打ち立てられるべきである.締約国がその間および前記したその属領・臣民の間で,いずれの側も陸上においても海上においても今後いかなる種類の敵対行為も,いかなる原因であろうと,またいかなる主張に基づくものであろうと犯されることを許さず,この相互的な友好と交流を維持すべく最大の関心を払うよう,そして今後融和が幸福のうちに再び打ち立てられることを阻害するかもしれないことがみな注意深く避けられ,諸国がその逆にあらゆる機会において互いのために相互の栄光,利益,有利に寄与するものなら何でも得るべく努め,締約国のいずれかに直接間接を問わず何らかの害を及ぼす者にはいかなる援助も保護も与えないよう,ここに終結した戦争の開始以前または以後になされた,あるいは犯されたあらゆることに対し,全般的な大赦が適用されるものとする.

第二条〔土台とする条約〕
一六四八年のウエストファリア条約,一六六一〔一六六七〕年および一六七〇年の英国とスペインの国王の間のマドリード条約,一六七八年と一六七九年のネイメーヘンの講和条約,一六九七年のレイスウェイク条約,一七一三年のユトレヒトの平和および通商条約,一七一四年のバーデン条約,一七一七年のハーグにおける三国同盟条約,一七一八年のロンドンにおける四国同盟条約,一七三八年のウイーンにおける平和条約,一七四八年のエクス・ラ・シャペルの本条約,そして一七五〇年の英国とスペインの国王の間のマドリード条約は,一六六八年二月十三日のスペインとポルトガルの国王の間の条約,同じく一七一五年二月六日のもの,一七六一年二月十二日のもの,そして一七一三年四月十一日の英国の保証のもとにフランスとポルトガルの間で結ばれた条約とともに講和,そしてこの条約の基礎をなすものである.この目的のために,それらはみな完全な形において更新,確認され,それはまた戦争の前に締約国の間に存していた〔条約〕全般と同様,それらが一字一句もらさずここに挿入されているかのごとくに,将来その文面全体にわたって厳密に遵守され,すべての陣営によって,すべての点で熱意をもって遂行され,たとえ締約国のいずれかによって逆のことが約定されていたとしても本条約によっても価値が損なわれることないものとする.前記当事者はみな,合意のもとに本条約によって約定される以外は,上記において確認された条約に反して存在する特権,恩恵あるいは放縦を許容することはないものと宣言する.

第三条〔捕虜の返還〕
すべての陣営において,陸上においても海上においても捕獲された捕虜,そして戦争中そしてこの日までに連れ去られ,あるいは提供された人質は身代金なしで本条約の批准書の交換の日から起算して遅くとも六週間以内に復帰させられるものとする.各国王はそれぞれの捕虜の生存と維持のために拘留国の君主によってなされた前払いの費用を,証明された受領書,見積書,その他一方または他方の陣営によって提供される正当な証明書に基づいて支払うものとする.そして,捕虜が完全に自由になるまでに拘留国において負った負債の支払いに対し,相互に担保が与えられるものとする.そして海上での敵対行為の終了のために合意された期限が切れてから奪われた軍艦,商船はすべて同様に善意をもってすべての乗組員と積み荷とともに回復されるものとする.そしてこの条項の執行はこの条約の批准書の交換後ただちに実行に移されるものとする.

第四条〔フランスの北米領土の割譲〕
フランス国王陛下はノヴァスコシアすなわちアカディアのどの地域に対してもこれまでなしてきた,あるいはなしたかもしれない主張はいっさい放棄し,その全体がその付属領とともに英国国王に帰属することを保証する.さらに,フランス国王陛下は前記英国国王陛下にカナダをそのすべての付属領とともに完全なる権利をもって割譲し,保証する.ケープブレトン島およびセントローレンス湾および同川のすべての他の島と沿岸,そして一般に前記の国土,領土,島,沿岸に付属するいっさい,そしてそれに伴う主権,財産,所有権,フランス国王および王室が今までに前記国土,領土,島,土地,沿岸その他住民に対して獲得したすべての権利についても同様である.したがって,フランス国王陛下は全体を前記国王,そして英国の王室に割譲し,譲り渡すことになり,それは,何の制限もなく,前記割譲および保証からいかなる主張に基づいてであっても逸脱したり上記領土において英国を乱したりする自由はない,最も広いしかたと形においてである.英国国王陛下の側は,カナダの住民に対し,カトリックの信仰の自由を認めることに同意する.その結果,陛下は英国の法が許す限り,ローマカトリックの儀式に基づいて陛下の新たなローマカトリックの臣下がその宗教の信仰を告白できるという最も精密で最も有効なる命令を発するであろう.英国国王陛下はさらに,フランス系住民あるいはカナダにおいてフランス国王の臣下であった他の者が完全なる安全と自由のもとに自分たちが適当と思うどこにでも引き下がり,英国国王陛下の臣下に対してであれば不動産を売り,あるいは所持品を持って退去してもよく,出国にあたっては負債,刑事訴追以外のいかなる主張のもとにおいてであろうと制限されることはないことに同意する.この出国のための有効期間は本条約の批准書の交換の日から起算して十八か月の間と定める

第五条〔フランス人の漁業権〕
フランスの臣民は,ユトレヒト条約の十三条において明記されているようなニューファンドランド島の沿岸の一部において漁をし〔とった魚を〕乾かす自由をもつものとする.その条項は本条約によって更新,確認される(ただし,ケープブレトン島やセントローレンス河口および同湾の他の島や沿岸に関する部分を除く).そして英国国王陛下はフランス国王の臣民にセントローレンス湾内において漁をする自由を残すことに,フランス臣民が英国に属するあらゆる沿岸―大陸の沿岸のみならず前記セントローレンス湾内に位置する島々の沿岸も含めて―から三リーグの距離以内では前記漁を実行しないとの条件のもとに,同意する.そしてケープブレトン島の沿岸,前記湾外における漁に関しては,フランス国王の臣民は前記漁をケープブレトン島の沿岸から十五リーグの距離以内で行なうことは許されないものとする.ノヴァスコシアすなわちアカディアの沿岸および前記湾外の他のあらゆる場所における漁は以前の条約の土台のままにとどまるものとする.

第六条〔漁業避難地の提供〕
英国国王はサンピエールおよびミクロンの島を,フランス人漁師の避難地として用いるために完全なる権利のもとにフランス国王陛下に割譲する.そして前記フランス国王陛下は前記両島を要塞化しないと約し,それらに建てる建物は漁業の便宜のためだけのものとし,それらにおいては警察のために五十人の衛兵を維持するのみとする.

第七条〔英仏間の国境〕
確固としてゆるぎない土台の上に平和を再建し,アメリカ大陸における英国領,フランス領の限界に関しあらゆる紛争の種を永久に取り除くため,爾後,英国国王陛下の属領とフランス国王陛下の属領の間の新世界における境界は改変されることなく,ミシシッピ川の中央に沿って引かれる線によって水源からイベルヴィル川に至るまで,そしてそこからこの川およびモールパ湖およびポンシャルトラン湖の中央に沿って引かれる線によって海まで定められるものとする.そしてこの目的のため,フランス国王は英国国王陛下に対する保証のもとに,完全なる権利をもってモビールの川と港,およびミシシッピ川の左岸において所有するまたは所有すべきいっさいを,ニューオーリンズの町とそれが位置する島がフランス領にとどまる点を除いて,割譲するものとする.その前提として,ミシシッピ川の水運は,その全幅および全長において,水源から海まで,特に前記ニューオーリンズの島とその川の右岸の間の部分やその河口の出入りの通行を含め,英国の臣民のみならずフランスの臣民に対しても等しく自由であるものとする.さらに,いずれの国の臣民に属する船舶も停戦させられ,臨検され,あるいは何らかの通行税に類するものの支払いを求められることはないものと定める.第四条においてカナダの住民のために挿入された規定は,本条によって割譲される国土の住民に関しても適用されるものとする.

第八条〔イギリスの征服地のフランスへの返還〕
英国国王はフランスに対し,グアドループ,マリーガラント,デジラード,マルティニク〔以上西インド諸島〕およびベルアイル〔ニューファンドランド付近〕の各島を返還するものとする.そしてこれらの島々の要塞はイギリス軍によって征服されたときと同じ状態に復元される.ただし,英国国王陛下の臣民で前記諸島に移住した者,あるいはその地もしくは本条約によってフランスに返還される他の土地において清算すべき商業上の事務がある者は,土地や家屋を売り,清算を行ない,債権を回収して,前記諸島および上述したような返還地に送ることが許されるがこの目的のためだけに用いられるものとする船によって,所持品を持って退去する自由をもつものとする.その際,彼らの宗教の理由によって,あるいは負債,刑事訴追以外の他のいかなる主張のもとによっても制限されないものとする.そしてこの目的のため,英国国王陛下の臣民には本条約の批准書の交換の日から起算して十八か月の有効期限が認められる.しかし,英国国王陛下の臣民が所持品を持って自国の船によって退去する自由は,予防的な対策を講じなければ濫用されるおそれがあるため,英国国王陛下とフランス国王陛下の間で特に,前記諸島およびフランスへの返還地に行くことが許されるイギリス船の数は限られ,決められた日時に出帆し,イギリス人に属するすべての所持品は同時に積み込まれ,航海は一回限りとすることが合意された.さらに,フランス国王陛下は前記した船に必要な通行証が発給されるようはからうものとし,さらなる安全のため,前記した船のそれぞれにはフランスの係官または護衛兵二名が配置されることが認められるものとし,それらの船は前記諸島およびフランスへの返還地の上陸地点や港において臨検を受け,商品が見つかった場合には没収されることが合意された.

第九条〔その他の西インド諸島の分割〕
フランス国王はグレナダ,グレナディン諸島を英国国王陛下に対して完全なる権利をもって割譲し,保証し,第四条においてカナダの住民のために挿入されたのと同じ規定がこの植民地の住民にも適用されるものとする.そして中立と呼ばれる諸島の分割について合意され,定められ,セントヴィンセント,ドミニカ,トバゴの諸島は完全なる権利をもって英国領にとどまり,セントルシア島は同様に完全なる権利をもってそれを享受するためにフランスに引き渡され,締約国はここに規定された分割を保証する.

第十条〔西アフリカ〕
英国国王陛下はフランスに対し,〔西アフリカの〕ゴレ島をそれが征服されたときの状態において返還し,フランス国王陛下は英国国王陛下にセネガル川を,サンルイ,ポドル,ガラムの砦および商館,そして前記セネガル川の利権,付属領のいっさいとともに,完全なる権利のもとに割譲し,保証する

第十一条〔東インド〕
東インドにおいては,英国はフランスに対し,その王冠が一七四九年のはじめにおいて有していた種々の商館を現在の状態のまま返還する.コロマンデル,オリッサの沿岸,マラバルの沿岸,ベンガル地方においても同様とする.そしてフランス国王陛下はコロマンデル,オリッサの沿岸において前記一七四九年のはじめ以来獲得した地についていっさいの主張を放棄する.フランス国王陛下のほうでは今回の戦争の間に東インドにおいて英国から征服したすべての地を返還し,特にスマトラ島のナタルおよびタパヌリは返還するものとする.さらにベンガル総督の属領のいかなる部分においても防備を構築したり軍隊を駐留させたりはしないことを約する.そしてコロマンデル,オリッサ沿岸における将来の平和を保全するため,イギリスとフランスはマホメット・アリ・カーンをカルナティックの合法的な太守と,サラバト・ジングをデカン地方の合法的な総督として承認することとする.両陣営は戦争中,一方あるいは他方に対して犯された破壊や略奪について,互い,あるいはインドの同盟者たちに対してなしうるかもしれないいっさいの要求,主張を放棄するものとする.

第十二条〔ミノルカ〕
ミノルカ島は〔同島の〕サンフィリップ砦とともに,フランス国王の軍隊によって征服されたときと同じ状態において,同島および同砦が占領されたときにあった大砲とともに英国国王陛下に返還されるものとする.

第十三条〔ダンケルク〕
ダンケルクの市街と港は先のエクス・ラ・シャペル条約およびそれ以前の条約によって定められた状態におかれるものとする.底溝〔空堀の底につくられる集水用の水路〕は,海側の入り口を守る砦や砲台とともに,本条約の批准書交換ののちただちに破壊されるものとする.同時に,他の何らかの方法により,健全な空気と住民の健康のための英国国王が満足するような対策が講じられるものとする.

第十四条〔ハノーヴァーなどのドイツ〕
フランスはフランス国王陛下の軍隊によって占領されるハノーヴァー選帝侯国,ヘッセン方伯,ブラウンシュヴァイク公爵,リッペ・ビュッケブルク伯〔ウエストファリア地方の小領主〕に属するすべての国土を返還するものとする.これら種々の国土の要塞はフランス軍によって征服されたときと同じ状態に復元されるものとする.そして運び去られた大砲は同じ口径,重量,金属の同数によって補填されるものとする.

第十五条〔まだ交戦中のプロイセンについて〕
予備条約の十三条に含まれている規定がこの条約の調印の時点でまだ完遂されていなかった場合に備え,また同様にクレーフェ,ヴェーゼル,ヘルダーラント,そしてプロイセン国王に属するすべての国土の要塞からフランス軍が撤兵することに関し,また同様にウエストファリア,下ザクセン,下ライン,上ラインそして帝国全域において占領している国土からイギリス,フランス軍が撤兵して各君主の属領に退くことに関し,英国国王陛下ならびにフランス国王陛下は,誠意をもって,事態が許す限りのすみやかさで,前記の撤兵に向けて前進することを約束し,その完遂は来たる三月十五日,あるいはできうるならばそれ以前と規定する.そして英国国王陛下とフランス国王陛下はさらに互いに,ドイツにおける戦争を続行するそれぞれの同盟者に対していかなる種類の援助をも行なわないことを約束する.

第十六条〔平時の捕獲品の扱い〕
平時において英国の臣民がスペイン人から奪った捕獲品についての判断は,すべての国の間で確立している規則に従う形で,英国の海事裁判所に委ねられるものとする.そのため,イギリス,スペインの両国間での前記捕獲品の正当性は,国際法に従い,また諸条約に従って,捕獲を行なった国の裁判所において判断され,裁かれるものとする.

第十七条〔新世界でのイギリスの地位〕
英国国王陛下はその臣下がホンジュラス湾,また新世界におけるスペイン領の他の土地に建設したいっさいの防備を,本条約の批准後四か月で取り壊すようはからうものとする.そしてスペイン国王陛下は,英国国王陛下の臣下たちあるいは彼らの作業員が前記の地において材木を切り出し,積み込み,運び去る作業においていかなる主張のもとにおいてであれ乱され,妨害されることを認めないものとする.そしてこの目的のために,彼らは,彼らとその家族,その所持品のために必要な家屋や倉庫を,障害を受けることなく建て,中断されることなく占有することができる.そしてスペイン国王陛下は彼らに対し,本条約の批准後ただちに,本条項により彼らに,上に規定されたスペインの沿岸および領土においてこれらの利権と権能を完全に享受することを保証する.

第十八条〔スペイン人の漁業権〕
スペイン国王陛下は,自らもその継承者も,〔スペイン北部の〕ギプスコア人および他の臣下のために抱いたかもしれない,ニューファンドランド島近海での漁業権への主張はいっさいしない.

第十九条〔イギリスの征服地のスペインへの返還〕
英国国王はキューバ島において征服したいっさいの領土をハバナの要塞とともに返還するものとする.この要塞,また前記した島の他のすべての要塞は英国国王陛下の軍隊によって征服されたときの状態に復元されるものとする.ただし,英国国王陛下の臣下で本条約によってスペインに返還される前記した島に移住した者,あるいはその地において清算すべき商業上の事務がある者は,土地や家屋を売り,清算を行ない,債権を回収して,上記のように返還される前記した島に送ることが許されるがこの目的のためだけに用いられるものとする船によって,所持品を持って退去する自由をもつものとする.その際,彼らの宗教の理由によって,あるいは負債,刑事訴追以外の他のいかなる主張のもとによっても制限されないものとする.そしてこの目的のため,英国国王陛下の臣民には本条約の批准書の交換の日から起算して十八か月の有効期限が認められる.しかし,英国国王陛下の臣民が所持品を持って自国の船によって退去する自由は,予防的な対策を講じなければ濫用されるおそれがあるため,英国国王陛下とスペイン国王陛下の間で特に,スペインに返還される前記した島に行くことが許されるイギリス船の数,各船のトン数は限られ,空荷で行くものとし,決められた日時に出帆し,イギリス人に属するすべての所持品は同時に積み込まれ,航海は一回限りとすることが合意された.さらに,スペイン国王陛下は前記した船に必要な通行証が発給されるようはからうものとし,さらなる安全のため,前記した船のそれぞれにはスペインの係官または護衛兵二名が配置されることが認められるものとし,それらの船はスペインに返還される前記した島の上陸地点や港において臨検を受け,商品が見つかった場合には没収されることが合意された.

第二十条〔スペインの北米領土の割譲〕
前条において規定された返還に鑑み,スペイン国王陛下は英国国王陛下に対し,完全なる権利においてフロリダをセントオーガスティンの砦とともに,そしてペンサコラ湾を割譲し,保障するものとする.そして北アメリカ大陸においてミシシッピ川の東または南東でスペインが有するすべて,そして前記した国土と土地に付属するいっさい,そしてそれに伴う主権,財産,所有権,そしてスペイン国王とスペイン王室が現在までに前記した国土,土地,場所そして住民に対して協定あるいは他の手段により獲得してきたすべての権利についても同様である.したがって,スペイン国王陛下は全体を前記国王,そして英国の王室に割譲し,譲り渡すことになり,それは最も広いしかたと形においてである.英国国王陛下の側は,上記において割譲される国土の住民に対し,カトリックの信仰の自由を認めることに同意する.その結果,陛下は英国の法が許す限り,ローマカトリックの儀式に基づいて陛下の新たなローマカトリックの臣下がその宗教の信仰を告白できるという最も明示的で最も有効なる命令を発するであろう.英国国王陛下はさらに,スペイン系住民あるいは前記の国土においてスペイン国王の臣下であった他の者が完全なる安全と自由のもとに自分たちが適当と思うどこにでも引き下がり,英国国王陛下の臣下に対してであれば不動産を売り,あるいは所持品を持って退去してもよく,出国にあたっては負債,刑事訴追以外のいかなる主張のもとにおいてであろうと制限されることはないことに同意する.この出国のための有効期間は本条約の批准書の交換の日から起算して十八か月の間と定める.加えて,スペイン国王陛下は陛下に属する動産物件を,それが大砲であろうと他のものであろうと,運び去るようはからう権利をもつものとする.

第二十一条〔ポルトガル領の返還〕
フランスおよびスペインの兵は,フランス,スペインの軍勢が征服したヨーロッパにおけるポルトガル国王陛下の領土,土地,町,場所,城すべてから,何らの保留もつけることなく,征服されたときと同じ状態にして,そこにあった大砲,弾薬を残して撤兵するものとする.そしてアメリカ,アフリカ,東インドにおけるポルトガル植民地に関しては,もし何らかの変化が起こっていれば,すべてのものはもとあったのと同じ土台において,このたびの戦争以前にフランス,スペイン,ポルトガルの宮廷の間に存していた先行条約に従う形で返還されるものとする.

第二十二条〔文書・記録の扱い〕
返還される国土,領土,町,場所にあったすべての書類,手紙,文書,記録,および割譲される国土に属するそれらのものは,それぞれに,善意をもって,引き渡され,あるいは備え付けられるものとする.それは前記した書類,文書がみつかった場所によらず,可能であれば所有権の転移と同時に,遅くとも本条約の批准書の交換後四か月で行なわれるものとする.

第二十三条〔その他の領土の返還〕
世界のいかなる部分にあろうと英国国王陛下およびポルトガル国王陛下の軍隊により征服されたすべての国土と領土,またフランス国王陛下とスペイン国王陛下の軍隊の征服地で,本条約に割譲の名称だろうと返還の名称だろうと含まれていないものは,すみやかに,いかなる補償も要求することなく返還されるものとする.

第二十四条〔執行期限〕
締約国のそれぞれによって返還,撤兵が実行されるためには一定の期間を割り当てることが必要であるため,イギリスとフランスの兵は来たる五月十五日より前に,昨年十一月三日に調印された予備条約の十二条,十三条の帝国その他の場所からの撤兵に関することで未執行に残っているすべてを完遂するものとする.ベルアイル島からは本条約の批准書の交換後六週間,可能であればそれよりも早く撤兵するものとする.グアドループ,デジラード,マリーガラント,マルティニク,セントルシアからは本条約の批准書の交換後三か月以内,可能であればそれよりも早く.同様に英国は本条約の批准書の交換後三か月ののち,可能であればそれよりも早くモビールの川と港,および第七条において指定されているミシシッピ川沿岸の英国領の限界をなすべきすべての領有にはいるものとする.そしてフランスは同じ期日,可能ならばより早くミノルカ島を.そしてフランスは同様に,本条約の批准書の交換後三か月ののちに,六条の条件に従ってサンピエール,ミクロン両島の領有にはいるものとする.東インドの商館は本条約の批准書の交換後六か月,可能ならばそれよりも早く返還されるものとする.ハバナの要塞は,キューバ島において征服されたいっさいとともに,本条約の批准書の交換後三か月,可能ならばより早く返還されるものとする.そして同時に,英国は二十条によりスペインから割譲される国土の領有にはいる.ポルトガル国王陛下のヨーロッパにおけるすべての場所と国土は本条約の批准書の交換後ただちに返還されるものとする.そして征服されていたポルトガル植民地は,西インドにおいては三か月の間に,東インドにおいては六か月の間に返還されるものとする.上記において返還が規定されたすべての要塞は征服時にそこにあった大砲と弾薬とともに返還されるものとする.その結果として,締約国のおのおのは,本条約の批准書の交換後ただちに,それを運ぶ船のための通行証を相互に送付するよう必要な命令を発するものとする.

第二十五条〔ドイツの領主としてのイギリス王の参加〕
英国国王陛下は,自らもその継承者も,ブラウンシュヴァイク・リューネブルク選帝侯として,そしてドイツにおける前記陛下のすべての属領と所領〔の名〕においても,本講和条約に含められ,保証される.

第二十六条〔条項の遵守〕
神聖なる英国国王陛下,フランス国王陛下,スペイン国王陛下,ポルトガル国王陛下は,本条約に含まれ,定められているすべての条項を,誠実に善意をもって,遵守することを約束する.そしてそれぞれの臣民によってそれが直接間接を問わず侵害されることを許さない.そして前記締約国は,包括的かつ相互的に,本条約のすべての規定を相互に保証する.

第二十七条〔批准書の交換〕
しかるべき有効な形で処置された本条約の厳粛なる批准は,本条約調印の日から起算して一か月のうちに,可能であればより早く,このパリ市において締約国間で交換されるものとする.

その証人として下に署名せる我々,特命大使および全権使節は,その名前と全権委任状の効力とによって,我々の手で本最終条約に署名し,我々の紋章の印章をそこに捺させた.一七六三年二月第十日,パリにて作成.

ベッドフォード, C・P・S  ショワズール,プラスラン公爵  グリマルディ侯爵
(捺印場所)           (捺印場所)        (捺印場所)

別記条項
第一条〔称号〕
締約列強諸国が交渉の過程で全権委任状あるいは他の証書において用いた,あるいは本条約の前文において用いられている称号のいくつかは一般に承認されているものではなく,それによって前記締約国のいずれに対しても,いかなる害をもきたすものではないこと,そしてそれぞれの側において前記交渉の場で,また本条約において称号が採用され,あるいは省略されたことは前例として引かれることはないものとすることが合意された.

第二条〔使用言語〕
本条約のすべての写しにおいてフランス語が用いられたことは,主張されたり,前例とされたり,あるいは締約国のいずれかを何らかの形で害したりするものではないことが合意され,決定された.今後については各国とも,同様の条約についてフランス語以外の言語の写しを与え,受けることをならわしとしており,またその権利がある諸国に関する場合,またその諸国が起草する場合,これまで守られてきており,また守られるべきである慣習に従うものとする.それでもなお,本条約はあたかも前述した習慣に従っていた場合と同じ効力をもつ.

第三条〔ポルトガルの参加〕
ポルトガル国王は本最終条約に調印していないが,英国国王陛下,フランス国王陛下,スペイン国王陛下はそれにもかかわらず,ポルトガル国王陛下があたかも前記条約に明示的に調印したかのように,その締約国として正式に加えられていることを承認する.その結果,英国国王陛下,フランス国王陛下,スペイン国王陛下はそれぞれに,そして合同して,ポルトガル国王陛下に対して,参加のあかつきには,最も明示的で束縛力のある形で前記条約に含まれるありとあらゆる条項の遂行を約束する.

本別記条項は条約に含まれていた場合と同じ力をもつものとする.

その証人として下に署名せる我々,英国国王陛下,フランス国王陛下,スペイン国王陛下の特命大使および全権使節は,その名前と全権委任状の効力とによって,本別記条項に調印し,我々の紋章の印章をそこに捺させた.一七六三年二月第十日,パリにて作成.

一七六三年二月の第十日,パリにて作成.

ベッドフォード, C・P・S  ショワズール,プラスラン公爵  グリマルディ侯爵
(捺印場所)           (捺印場所)        (捺印場所)

英国国王陛下の全権委任状〔原文ラテン語〕

国王ジョージ

ジョージ三世,神の恩寵により大ブリテン,フランスおよびアイルランドの国王で,信仰の擁護者,ブラウンシュヴァイク・リューネブルク公爵,神聖ローマ帝国の筆頭財務官および選帝侯等々.本状を手にされるすべての人にご挨拶申し上げる.余と余のよき兄弟ポルトガル国王を一方に,余のよき兄弟たちフランス国王およびスペイン国王を他方とする間における,今月三日にフォンテーヌブローにてすでに調印された予備条約によって幸福にも着手された講和を完全なものとするため,そしてそれを望ましい決着に導くため,余は何らかの適格な人物に余の側において全権を与えることを適当と考えるに至ったゆえに,ご通知申し上げる.余は,余の信頼する,そして完全に敬愛すべき卿にして顧問官であるジョン―ベッドフォード公爵ならびに伯爵,タヴィストック侯爵,チェイニーズのラッセル男爵,ソーンホーのラッセル男爵,ストリータムのハウランド男爵,余の軍隊の中将,余の王璽尚書,ベッドフォードおよびデヴォン州の統監にして首席治安判事,余の最も高貴なガーター勲爵士団の一員にして余のよき兄弟フランス国王陛下への特命全権大使―の忠誠,判断,技量,そして最大の重要性をもつ事項を扱う手腕への完全なる信頼をもつものであり,同人を指名し,就任させ,権限を与え,任命したものであり,余は本状によって同人を余の真の,確かにして疑いなき使節,担当官,代官,代理人,全権に指名し,就任させ,権限を与え,任命し,ありとあらゆる権力,権能,権威ならびに余の一般的および個別的な命令(ただし,一般は個別を損なわず,その逆もないものとする)とを与えた.彼は,余のために余の名において,単独に合同して,そして集団で,関係する諸君主のその目的のための十分な権力と権威を与えられた大使,担当官,代官,全権と会い,協議し,そして確固として永続的な平和,そして真摯な友好と協和とをかなう限り早期に再びうち立てることに関し,彼らと協議し,取り引きし,相談し,結論する.そしてそのようにして合意され,結論されたものがいかなる内容であろうと,余のために余の名において,そのようにして合意され結論されたことに関し,条約ないしは諸条約に調印し,作成する.そして前述の大業の幸福なる完成に資しうる他のあらゆることについて処置する.それは広いしかたと形においてであり,あたかも余自身がもし臨席していたら行なっていた場合と同じ効力をもつ.余は余の王としての言葉において,余の全権によって処置され,締結されたことならいかなることでも唯々諾々として是認し,批准し,受け入れるであろうこと,そしていかなる人物にも,全体であろうと部分的にであろうとそれを蹂躙したりそれに反する行ないをしたりすることを決して許さないであろうことを誓い,約するものである.その証と確認のため,余は,余自らの手によって署名された本状に英国の国璽を捺さしめた.余の治世第三年の一七六二年,十二月第十二日,余のセントジェームズ宮殿にて発給.

フランス国王陛下の全権委任状〔原文フランス語〕
ルイ,神の恩寵によりフランスおよびナヴァールの王.本条を目にするすべての人にご挨拶申し上げる.昨年の十一月三日にフォンテーヌブローにて調印された予備条約は余と余の最愛にして最も敬愛するよき兄弟にして親類たるスペイン国王を一方とし,余の最愛にして最も敬愛するよき兄弟英国国王および余の最愛にして最も敬愛するよき兄弟にして親類たるポルトガル国王を他方とする間において平和を再建する基礎を据えたことゆえに,その幸福なるできごと以来,余と前記列強との間に厳粛にして最終的な条約によってかくも有益にしてかくも重要な偉業を最も永続的な仕方でうち固め,強化することほど余が心にかけていることはない.これらの大義および余をそれに向けて動かす他のもっともな考察のため,余は,余の最愛にして敬愛すべき卿セザール・ガブリエル・ド・ショワズール―プラスラン公爵,フランス貴族,勲爵士,余の軍隊およびブルターニュの中将,余のすべての評議会の評議員,国務大臣,余の尚書局長および財政大臣―の能力と経験,余に尽くす熱意と誠実さへの信頼から,同人を指名し,任命し,代理権を与えたものであり,余の手によって署名された本状により同人を余の全権使節として指名し,任命し,代理権を与える.彼は完全にして絶対的な権力をもってその職責において行動し,有効な全権委任状を与えられた余の最愛にして最も敬愛するよき兄弟たる英国国王の全権使節,余の最愛にして最も敬愛するよき兄弟にして親類たるスペイン国王の全権使節,余の最愛にして最も敬愛するよき兄弟にして親類ポルトガル国王の全権使節と協議し,交渉し,取り引きし,協議し,彼が和平の大業を確かなものとし,強化するために適当と判断する条項,条件,慣習,宣言,最終的な条約,承認その他のいかなる証書にも合意し,締結し,調印する.そのいっさいは,本状に含まれている範囲外のより個別な命令を必要とするようなことが何かあるであろうが,もし余がその場にいたとして余自身が行なう場合と同じ裁量と権利をもってである.余は国王の信義と言葉において,前記した余の卿たるプラスラン公爵が本全権委任状の効力のもとに約定し,約束し,調印したいっさいについて,是認し,確固としてゆるがないものとして維持し,逐一履行し,執行するものであり,いかなる大義のためであろうといかなる主張のもとであろうと,決してそれに反する行ないをせず,それに反するいかなることも許さないこと,そしてまた批准の書状が有効なる形で発行されるようはからい,合意される期限内に交換されるよう届けられるようはからうことを約束する.それはまさに余の望むところである.その証として,余は余の玉璽を本状に捺さしめた.主の年一七六三年,余の治世の第四十八年,二月の月の七日,ヴェルサイユにて発給.署名ルイ.そして畳んだ上国王とショワズール公爵による〔署名〕.黄蝋の国璽によって封される.

スペイン国王陛下の全権委任状〔原文スペイン語〕
ドン・カルロス,神の恩寵によりカスティリア,レオン,アラゴン,両シチリア,エルサレム,ナバラ〔ナヴァール〕,グラナダ,トレド,バレンシア,ガリシア,マヨルカ,セビリア,サルディニア,コルドバ,コルシカ,ムルシア,ハエン,アルガルヴェ,アルヘシラス,ジブラルタル,カナリア諸島,東西インドの諸島および大陸,大洋の国王,オーストリア大公,ブルグント,ブラバント,ミラノの公爵,ハプスブルク,フランドル,ティロル,バルセロナの伯爵,ビスケーおよびモリノ卿等々.この王室とフランス王室を一方にして,イングランドとポルトガルの王室を他方とする間に確固として永続的な平和の予備条約が,その目的のために権限を与えられた使節らによって,本年十一月三日にフォンテーヌブローの王宮にて締結され,調印され,各国のその批准書は同月二十二日に交換された.それは主要な点について方向性を確立し,指示し,時を移さず最終条約に着手することが約束された.私がそなたドン・ヘローム・グリマルディ―グリマルディ侯爵,精霊騎士団の一員,私の官房付き侍従勤務で私のフランス国王陛下への特命大使―に先に述べた予備条約について交渉し,調整し,調印する全権を与えたのと同様に,前述したような約束された最終的な平和条約について交渉し,調整し,調印する同じ権限をそなたまたは他の何者かに与えることが必要となった.したがって,そなた,前記グリマルディ侯爵ドン・ヘローム・グリマルディはちょうどいいところにおり,また毎日のようにそなたの認められた誠実さと熱意,能力と思慮深さから,本件ならびに私の王室の同様な関心事項をそなたに託する新たな動機が見出されたことにより,私はそなたを私の全権使節に任命し,私の全権を与える.そなたは,私の名において,私本人を代表して,前記私の王室とフランス王室を一方とし,イングランド王室とポルトガル王室を他方とする間での最終的な平和条約について,同じ目的のためにそれぞれの君主によって同等の特別な権限を与えられた使節らと交渉し,調整し,決着させ,調印することができる.私は今時点以後,そなたがそのようにして交渉し,締結し,調印することはいかなることであろうと承認され,批准されたものと認め,私の王としての言葉において,あたかもそれが私自身によって交渉,締結,調印されたかのようにそれを遵守,履行し,それが遵守,履行されるようはからうであろうことを約束する.その証として,私の手によって署名され,私の王璽によって封印され,私の下記の国務評議会議員にして国務および軍務省の筆頭大臣が副署した本状を送付するようはからった.ブエン・レティーロにて.一七六二年十二月十日.

(署名)私こと国王
(その下に)リチャード・ウォール〔アイルランド系スペイン人〕

テキストは基本的にAvalon Projectによった.疑問の箇所はTreaty of Paris, 1763(フランス語原文と英語の両方あり)を参照して適宜修正を行なった.

(C) 2003.9. 友清理士; 訳文の最終修正日2005.1.3
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