国王
本年一七一二年十一月五日に,私の国務大臣にしてカスティリアおよびレオンの王国の主席公証人たるドン・マヌエル・デ・ビディロ・イ・ベラスコならびに証人たちの前で,私は次の文面の公文書を交付し,宣誓し,署名した.それは一字一句以下に掲げられる.
ドン・フェリペ,神の恩寵によりカスティリア,レオン,アラゴン,両シチリア,エルサレム,ナバラ〔ナヴァール〕,グラナダ,トレド,バレンシア,ガリシア,マヨルカ,セビリア,サルディニア,コルドバ,コルシカ,ムルシア,ハエン,アルガルヴェ,アルヘシラス,ジブラルタル,カナリア諸島,インディアス,および大洋の島々と陸地の国王,オーストリア大公,ブルグント,ブラバント,ミラノ公爵,ハプスブルク,フランドル,ティロル,バルセロナ伯爵,ビスケーおよびモリノ卿等々.権利放棄と返上の文書および書き付けの説明および情報により,現在ある,そして将来あるであろう国王,君主,権力者,共和国,共同体,個々人に知らしめる.
スペインおよびフランスの王冠ならびにイングランドの王冠の関係は,一連の和平条約の主要な局面の一つであり,和平を確固として永続的なものにし,勢力の均衡によってヨーロッパ全体の福利と平穏を永遠に確かなものにするとの方針の上に全般的な平和へと前進するために重要である.諸国が一つに連合して均衡のバランスが一国の優位に転じたり,他国の危険と国難に転じたりすることがないよう,イングランドによって提案,主張され,私の側,そして我が祖父たる国王の側からも合意された.すなわち,いかなる時にもこの王朝とフランスの王朝との連合を避け,いかなる場合においてもそうした事態になることを避けるため,私によって,私のすべての子孫をも含めて,フランスの王朝を継承する可能性に対する,そしてそれら〔フランス〕の王子たち,そして現在ある者とこれから来たる者を含めたその全種族の側からはこの〔スペインの〕王朝を継承する可能性に対する,相互的な権利放棄がなされるべきである.我が王朝,そしてかの王朝の二つの王家により,互いの王位の継承について主張されるかもしれないすべての権利を放棄する適切な計画を立てることによって,私の権利放棄という法的な手段によって私の家系をフランス王家の本家から切り離し,フランスのすべての家系をスペインの血族王家の本家から切り離すことによって,同時に,ヨーロッパにおける勢力均衡という根本的かつ永遠の方針(それは考えられるあらゆる場合においてフランスの王朝のスペインの王朝との連合を回避する根拠となり,それを正当化する)に従って,私の世継ぎがなかった場合に,この〔スペイン〕王朝が再び,帝国の連合がなくてもその支配地と付属領だけでも脅威になるオーストリア家に相続されるようなことが起こらないよう―かつてオーストリア家の世襲領地をスペイン王室の本体から分離することを正当化した動機にほかならない―注意を払うことによって,この目的のためにイングランドと私,そして我が祖父たる国王とによって,次のことが合意され,決着された.私,そして私の世継ぎ亡きあとは,サヴォイ公爵およびその息子および忠実な合法的な婚姻によって生まれた男子の子孫がこの王国の王位を継承することになる.そしてその男系子孫がない場合には,カリニャンのアマデオ公およびその息子および忠実な合法的な婚姻によって生まれた男子の子孫が,そしてその系列がない場合には,カリニャン公の弟トマス公,その息子および忠実な合法的な婚姻によって生まれた男子の子孫が,フェリペ二世の娘ドナ・カタリナ内親王の子孫として,そして明示的に名指されることで,明確にして周知の権利を有する.それは友好と恒久的な同盟を前提とし,サヴォイ公爵およびその子孫はそれをこの王冠から得るべく努めるものとする.この恒久的にして絶えることのない希望によって均衡の針は不変に保たれ,数々の戦闘の苦難と無常に倦んだあらゆる列強が友愛のうちに等しく平静のうちに保たれることが信じられ,破棄あるいは離脱といったいかなる契約によってもこの諸国の連合による平衡を変えることは,どの締約国の裁量にも許されないものである.その承認を促したのと同じ理由がその恒久性を実証しているものであるからである.それは形成されつつある基本体制となり,不変の法則によって来たるべきことの継承を解決することになるだろう.上で述べたことの結果として,そして私がスペインの人々に対して抱く愛情のため,そして私が彼らに対する恩義を知っており,そして彼らの忠誠心を幾度となく経験したことから,そしてこうして運命に身を委ねることによって私をこのように輝かしく有為の家臣のうちに王座につけ,維持したもうた大恩に対し天なる神に恩返しをするため,私は私自身ならびに私のすべての子孫の名において,フランス王委への継承権を放棄する決意をした.私の最愛にして忠実なスペイン人たちのうちに生き,そして死ぬことをやめないことを望んでおり,私の子孫すべてに彼らの忠誠と愛情の分かちがたいきずなを残すつもりである.そしてこの決意がしかるべき効果をもつよう,そしてこれまでヨーロッパをさいなんできた戦争の主たる動機とみなされてきた問題が終結するよう,私ドン・フェリペ,神の恩寵によりカスティリア,レオン,アラゴン,両シチリア,エルサレム,ナバラ〔ナヴァール〕,グラナダ,トレド,バレンシア,ガリシア,マヨルカ,セビリア,サルディニア,コルドバ,コルシカ,ムルシア,ハエン,アルガルヴェ,アルヘシラス,ジブラルタル,カナリア諸島,インディアス,および大洋の島々と陸地の国王,オーストリア大公,ブルグント,ブラバント,ミラノ公爵,ハプスブルク,フランドル,ティロル,バルセロナ伯爵,ビスケーおよびモリノ卿等々は,己自身の動機,〔そして〕自由にして自発的,強制されざる意思により,本文書によって,フランスの王位継承に関して私がもつ,あるいは私の子孫のいずれかが現在もつ,もしくは将来のいつかもつかもしれないあらゆる主張,権利,肩書きを私自身そして私の世継ぎと継承者について,未来永劫,放棄し,手放し,棄て去るものである.そしてフランスの王位を継承する行為および権利について,私自身は除外され,分離されたものと,また私および私の息子たち,世継ぎや子孫たちは永遠に,絶対的に,限定なく,人,等級,性別,時代による差異や区別もなく,除外され資格を失ったものと宣言し,そのようにみなすものである.そして私は私自身および私の前記子孫の名において,現在もその時点でも,フランス王位継承権が,私および彼らが除外され,資格を失い,不能となった状態で,その死によって王位が空位となる国王の次の親等で最も近い人物に譲渡され,移譲されたものとみなされることに同意する.そして前記フランス王位への継承は,いかなる時点においても,いかなる場合においても,その人物の上に決着され,与えられるものである.同人は,私および私の子孫が生まれなかったかのごとく,またこの世にいなかったかのごとくに真実にして合法的な継承者であるとされ,みなされる.我々はそのようにみなされ,考えられるべきである.それというのも,私自身および私の子孫たち自らが,能動的または受動的な申し立て,祖先,有効で実質,血統,資格を主張しうる家系の連続性について考慮したり,それを論拠としたりすることは決してないからであり,またそれらの人物の出自や親等数が我が主にして祖父たるフランス国王から,あるいは我が父〔故〕フランス王太子,あるいはその父祖たる輝かしい国王たちから導かれることもないからであり,また他のいかなる手段によっても彼らが継承に至り,親等の近さを占有して上述したように次位であるべき人物を排除することはないからである.私は,私自身および私の子孫の名において,この現時点より,またその時点でも,この権利は我が弟ベリー公およびその息子や忠実な合法的な婚姻によって生まれた子孫に譲渡され,移譲されたものとみなされ,考えられることを望み,同意する.そしてその男系子孫がない場合には,我が叔父〔祖父の甥〕およびその息子および忠実な合法的な婚姻によって生まれた男子の子孫に.そしてその子孫がない場合には我がいとこブルボン公およびその息子および忠実な合法的な婚姻によって生まれた男子の子孫に.そして同じようにして順次あらゆるフランス親王およびその息子および忠実な合法的な婚姻によって生まれた男子の子孫に,未来永劫,その生得の権利によって王位に召されるべき地位と順序に従って渡るものとする.その結果,前記親王たちのうち,(私および私の前記子孫が上述したように除外され,資格を失い,不能となっているために)その死によってフランス王位の空位が生じる国王に最も近い次の親等にある人物にということであり,いかなる時点においても,いかなる場合においてもということであり,継承権はその人物に属し,彼は私および私の子孫が生まれなかった場合と同じに真実にして合法的な継承者としてその権利を有する.そして前記フランス王位の継承に関して私および私のすべての息子と子孫にまつわるすべての権利と肩書きを放棄する本証書をより強力なものとなすため,私は特に,我が祖父たる国王がフランス王位の継承権を私のために保存し,留保してくれ,私が享受できるようにしてくれた一七〇〇年の十二月にヴェルサイユにて発送され高等法院において通過され,承認され,登録された開封勅許状または文書によって生得の権利に加えて生じるかもしれない権利を手放し,棄て去るものである.私は,その中で定められている目的のための基礎としてそれが供され得ないことを望み,それを拒絶し,放棄し,無効であり,何らの効力ももたず,抹消されたものであり,あたかもそのような文書が作成されなかったかのようにみなす.私は国王の名の信義のもとに,私および現在いる,あるいはこれから来たるべき私の息子や子孫に関する限り,この文書の遵守と完遂のために注意を払い,直接間接を問わず,全体であろうとその一部であろうとそれに反するいかなることも許可したり同意したりしないことを約束し,責任を負うものである.そして私は,既知のものであろうと未知のものであろうと,通常のものであろうと異例なものであろうと,一般的な権利または特別な特権によって私や私の息子,子孫に属するかもしれない,上述したことに反することを要求し,言及し,あるいは主張するようなすべての,そしてすべての種類の回復手段を棄て去り,手放すものである.そして私はそれらをすべて放棄する.そして特に,明らかに不利である,甚大で,この上なく甚大であることが,前述した王位を継承する権利をいかなる時点においても棄て去り,放棄する本文書において生じたと考えられる.私は,前記したいかなる回復手段も,あるいは他の手段も,いかなる名,用途,重要性,性質のものであろうとも,我らを利することなく,また利することができないことを望む.そして実際にもし,今後いかなる時にでも,いかなる旗印の下であろうとも,我らが前記王国を武力によって,攻撃的・防衛的を問わず戦争を起こすことによって奪取せんと努めることがあれば,それは不法にして不正であり,理不尽にも行なわれた戦争であり,理性と良心に反する暴力であり,侵略であり,簒奪であるものとみなされ,判断され,宣言されるものである.他方,私と私の前記息子や子孫の除外によって前記フランス王位を継承すべき人物のために行なわれる戦争は公正で,合法的で,許された戦争であると判断され,考えられるものである.その人物に,その地の臣民および住民は尽くすべきであり,従うべきであり,忠節の誓いをし,実践すべきであり,彼らの合法的な国王であり領主として仕えるべきである.そして私および私の前記息子と子孫についての譲渡と放棄は,永久に未来永劫,確固として変わることなく,有効で,撤回不能なものである.そして私は,公にも内密にも,それに反する,本文書に含まれることの効力を妨げ,あるいはその効果を減ずるような断言や主張をしたことはなく,これからもしないことを宣言し,約束する.そしてもし私がそのようなことをしたとしたら,宣誓のもとに述べられたとしても,それは有効ではなく,いかなる効力をももちえないものとする.そしてこの放棄証書に含まれること,そしてそこにおいて私の側から述べられ,約束されていることをより強化し,確かなものにするため,改めて私の信義と王としての言葉を誓いとして与える.私は,私の右手を乗せたこの祈祷書に含まれる福音にかけて厳粛に誓う.私は,私自身も私のすべての継承者,世継ぎ,子孫についても,この権利放棄の証書および文書を,それに含まれるすべての節について,最も自然で,文字どおりの平易な意味と解釈において遵守し,維持し,完遂する.私はこの誓いから解放されるよう努めたことはないし,今後努めることもしない.そしてある個人によってそれが求められたとしても,あるいは教皇自発教令が認められたとしても,それを行使することはなく,いかなる形で利用もしない.のみならず,それが私に認められたような場合には,私はもう一つの同様な誓いを立て,私に何度〔宣誓からの〕解放が認められようとも常にその上にそれを越えてもう一つの宣誓が行なわれ,そのようにあり続けることだろう.そして私はこの文書を同席している書記官,この私の王国の公証人の前で交付する.私はそれに署名し,私の王璽によって封するよう命じた.そこに証人として呼ばれ,立ち会うのは次の通り.枢機卿ドン・フランシスコ・デ・フディス―宗教裁判所長にしてモントリオール〔?〕大司教,国務評議会の一員―,ドン・ホセ・フェルナンデス・デ・ベラスコ・イ・トバラ―カスティリア城代,フリアス公爵,私の官房付き侍従,私の王室家政長官,献酌官長,狩猟長官―,ドン・フアン・カルロス・アルフォンソ・ペレス・デ・グスマン・エル・ブエノ―メディナ・シドニア公爵,精霊騎士団の騎士,私の主馬頭,私の官房付き侍従,私の国務評議会の一員―,ドン・フランシスコ・アンドレス・デ・ベナビデス―サンティステバン伯爵,私の国務評議会の一員,王妃の家政長官―,ドン・カルロス・ホモデイ・ラコ・デ・ラ・ベガ―アルモナシル侯爵,カサ・パルマ伯爵,私の官房付き侍従,私の国務評議会の一員,王妃の主馬頭―,ドン・レスタイノ・カンテルモ―ポポリ公爵,精霊騎士団の騎士,私の官房付き侍従,私のイタリア人近衛騎兵隊の隊長―,ドン・フェルナンド・デ・アラゴン・イ・モンカダ―モンタルト公爵,ロス・ベレス侯爵,モンテサ騎士団におけるシッラとベナスルの分領団長,私の官房付き侍従,私の国務評議会の一員―,ドン・アントニオ・セバスチャン・デ・トレド―マンセラ侯爵,私の官房付き侍従,私の国務評議会の一員,そしてイタリアの国務評議会議長―,ドン・フアン・ドミンゴ・デ・ハロ・イ・グスマン―聖ヤコブ〔サンティアーゴ〕騎士団における大分領団長,私の国務評議会の一員―,ドン・ホアキム・ポンセ・デ・レオン―アルコス公爵,私の官房付き侍従,カラトラバ騎士団における分領団長,私の国務評議会の一員―,ドン・ドミンゴ・デ・ジュディス―ジョベナッソ公爵,私の国務評議会の一員―,ドン・マヌエル・コロマ―カナレス侯爵,私の官房付き侍従,私の国務評議会の一員,スペイン砲兵隊の大将軍―,ドン・ホセ・デ・ソリス―モンテラノ公爵,私の国務評議会の一員―,ドン・ロドリゴ・マヌエル・マンリケ・デ・ララ―フリギリアナ伯爵,私の官房付き侍従,私の国務評議会の一員,インディアスの国務評議会の議長―,ドン・イシドロ・デ・ラ・クエバ―ベドマル侯爵,精霊騎士団の騎士,私の官房付き侍従,私の国務評議会の一員,騎士団評議会の議長,陸軍長官―,ドン・フランシスコ・ロンキロ・ブリセノ―グラメド伯爵,私のカスティリア評議会の総裁―,ドン・ロレンソ・アルマングアル―ヒロンダ司教,私のカスティリア評議員にして官房付き侍従,歳入評議会の総裁―,ドン・カルロス・デ・ボルハ・イ・センテラス―インディアスの総大司教,私の騎士団評議会の一員,私の礼拝堂付き司祭にして施物分配長,私の軍隊の司教総代理―,ドン・マルティン・デ・グスマン―モンテアレグレ侯爵,私の官房付き侍従,私の近衛鉾槍隊の隊長―,ドン・ペドロ・デ・トレド・サルミエント―ゴンドマル伯爵,私のカスティリアの官房付き侍従―,ドン・フランシスコ・ロドリゲス・デ・メンダロスケタ―キリスト教信仰団の首席代表―,そしてドン・メルヒオル・デ・アベラネダ―バルデカナス侯爵,私の陸軍評議会の一員,スペイン歩兵隊の長官―.
私こと国王
私ドン・マヌエル・デ・バディロ・イ・ベラスコ―聖ヤコブ騎士団の騎士,カラトラバ騎士団のボスエロ分領団長,陛下の国務大臣,その王国および属領の公式公証人にして筆記官―は発行および上記で述べられている残りすべてに立ち会ったものであり,ここにそれを証明する.そしてその真実の証としてそれに署名して私の名をそれに付した.マドリードにて.一七一二年十一月五日.
マヌエル・バディロ・イ・ベラスコ
今,ここに挿入されている前記文書において言及されているそれぞれの協定に関し,そして関係する,そしてその内容を利用する権利をもつすべての当事者に正式な形で届けられるよう,そして正しくなされるべきこと,その発行から導かれることがすべてそこに含まれる節,条件,想定のもとに実施されるよう,私は本状が作成され,私の手で署名され,私の国王の紋章によって封され,私の下記の国務大臣にしてこれら私の王国における主席公証人によって副署されるよう命じた.ブエン・レティーロにて.一七一二年十一月七日.
(捺印場所)私こと国王
マヌエル・デ・バディロ・イ・ベラスコ
集会した法廷のもとで,読み上げられ,公表され,法務部の保管文書のうちに登録され,国王の法務長官が,この日の裁決に従って,それらがその形式および趣意に従って遂行されるよう発言し,提議した.パリにて,高等法院において,一七一三年三月十五日.
(署名) ドンゴワ
私ドン・フランシスコ・アントニオ・デ・キンコセス―聖ヤコブ騎士団の騎士,陛下の評議会の一員,その室の評議会の秘書官,カスティリアの国務評議会の書記官,陛下の王国および属領における公式公証人にして筆記官―は以下の通り証明する.
我が主たる国王(神の加護を)が投票権をもつすべての都市および町の騎士代理人が代表するコルテス〔等族会議〕に集まった王国構成員に対して本年本月の五日にブエン・レティーロの王宮にてなした提案に従い,そして同年同月同日陛下がそのすべての王国と属領における国務大臣にして公式公証人・筆記官であるドン・マヌエル・デ・バディロ・イ・ベラスコの前で発行し,彼に提出を命じ,王国構成員がこのためだけに開催したコルテスの会議において読み上げられ,公表された権利放棄の文書を目にした上で,次の決議が採択された.
王国構成員は陛下のみ足のもとにひれ伏し,この上なく謙虚な陳情において,この上なく忠実な封臣の最大の福利と利益のことを考え,この王国にこの望まれた平和と平穏の結果を獲得することによって,スペインの国民に名誉を与え,その威光を高めたはかりしれない恩恵と限りなく大いなる厚意とに対する感謝を申し上げる.そして王国構成員は彼らの側からも陛下の国王としての意図を達成するのに貢献することを望みつつ,以下のことに同意し,そしてその権威,有効性,効力を強めるのに必要とあらば承認し,確認する.@陛下がご自身ならびに王家のあらゆる子孫の名において,フランスの王室において起こるかもしれない継承についてなされた権利放棄.ただし,その前提として,我が国の王位についての同様の権利放棄がかの王家の王子たちおよびその子孫たちによってなされるものとする.A同様にオーストリア家はこの王室の属領から永久に除かれること.B陛下の子孫なき場合(そのようなことがなからんことを),サヴォイ公爵家およびそのすべての息子および忠実な合法的な婚姻によって生まれた男子の子孫が,そしてこの系統がすべてない場合にはカリニャンのアマデオ公,その息子および忠実な合法的な婚姻によって生まれた男子の子孫が,それもない場合には前記カリニャン公の弟トマス公,その息子および忠実な合法的な婚姻によって生まれた男子の子孫が,フェリペ二世の娘ドナ・カタリナ内親王の子孫として,そして明示的に名指されることで,明確にして周知の権利を有すること.それは我が国の王位との友好と恒久的な同盟を前提とし,サヴォイ公爵およびその子孫はそれを得るべく努めるものとする.そして王国構成員はこれら三つの事項をすべて,そのそれぞれは先に触れられ,言及された陛下によってなされた権利放棄の前記文書において表現され,含意され,締結されている通りの同じ資質,条件,想定をもつものとして承認し,同意し,批准する.そして最後に,これらの条約の効力を確かなものとして確立するために,これらの王国は,そのあらん限りの権力と力をもって,その血の最後の一滴までも陛下のおんために奉仕し,忠誠のしるしとしてその生命と財産を陛下に捧げ,陛下のご決意が維持されるようはからう義務を負うものである.そして陛下のご采配ならびに王国構成員の同意が永遠に記憶され,遵守されるべく,彼らの名において(実際に同じ今月九日の申し立ておよび協議によってすでに要望し,請願したように)前述した権利放棄,オーストリア家の我が国の属領からの永久的な除外,そして陛下の子孫なき場合(そのようなことがなからんことを)これらの王国の継承がサヴォイ家に渡ることについて,それに反することがわかったあらゆることを無効とすることによって,それが基本法として確立されるよう,陛下が命令されんことを要望する.この三点については,王国構成員は,陛下の賛同のもとに,この王国の最大の福利と利益がかかった基礎であり,陛下のご慈悲によってかくも追求され,奨励され,高められたものとして現在すでに同意している.
そして我らの主国王は,この王国構成員のコルテスにおける騎士代理人たち全員の全会一致による一様な決議および申し立てに同意され,今月十七日の勅令によって,この最高評議会にそれが権利放棄の書面とともに上程されるようお命じなり,それがより永久に犯されることなく遵守されるよう明確さと有効さの面であらゆる条件をととのえてただちに法律の文面が起草され,拡張され,処置されるものとされた.
上述したことはより十分な形で前述の文書,王国構成員の決議および嘆願書に表わされており,それを参照されたい.そしてこの証明書は,私の手で署名され,陛下の国王の紋章の印章で封された形で,王命によりマヘラダおよびブレナ侯爵―陛下の評議会の一員,官房侍従,国務大臣,文書送達官―の書類中に与える.マドリードにて,一七一二年十一月九日.
(捺印場所)ドン・フランシスコ・デ・キンコセス
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