リチャード3世関連小説

Dickon (Marjorie Bowen)

エドワードの王位確保(1460〜1466),ウォリックの謀反とランカスター朝の一時再興(1470〜1472),リチャード3世の即位と横死(1482〜1485)という三つの時期について,リチャードの視点から描く.父がウェークフィールドの戦いに敗れて亡命の途についた船上を皮切りに,ヨーク家の凶事があるごとにジョン・フォッグという謎の人物に出会うという幻想的な仕立てになっている.(ジョン・フォッグという人物がヨーク家の敵として存在したことは歴史書にもある.)
リチャード善人説に立ちつつ史実の流れに沿っているが,できごとの日時などある程度自由に動かして流れを簡略化しているよう.
リチャードが兄同様の美男子とされている点も注目される.もちろん,リチャードの容貌を醜悪に描くのは多分にテューダー朝時代の創作だが,この著者はオレンジ公ウイリアムを扱った別の小説でも,本当は低身だったウイリアムを長身と描いており,主人公を美化する傾向があるのかもしれない.
第1部(1460-1466)3つの太陽
1 ランカスター派が迫るロンドンから少年リチャードとジョージは亡命のため船出
2 リチャード,船上で父と兄の末路を知る;ジョン・フォッグに出会う
3 ユトレヒトのリチャード;ブルゴーニュ公とその嫡男シャロレー伯に会う
4 タウトンの勝利の報せ;リチャードら帰国
5 (欠番)
6 少年リチャードらはウォリックに伴われてミドラムへ

第2部(1470-1472)熊と荒木の柱
1 ウォリック伯,リチャードに王妃ウッドヴィルへの不満を漏らす
2 ウォリック伯,リチャードに,国王が反対する娘アンとの結婚を持ちかけて反発を買う
3 リチャード(グロスター公)とジョージ(クラレンス公)が兄王に対峙
4 リチャード,クラレンスに誘われてスティリントンの秘密に迫る
5 クラレンスとウォリックが懇談しているところにクラレンスの歌い手の死体が届く
6 ウォリックがカレーで娘イザベルとクラレンスを結婚させ,リーズデールの蜂起に呼応してイングランド上陸
7 リチャード,ウォリックを捕捉しようと追う
8 リチャード,兄王エドワード4世がウォリックに捕らわれたことを知る
9 リチャード,ミドラムでウォリックに抗議;リチャードの母ヨーク公妃が仲裁
10 ウォリック,フランスに渡り,イングランドに侵攻してヘンリー6世擁立;ネヴィルの裏切りでエドワード4世敗れ,亡命
11 エドワードとリチャードら,ブルッヘに身を寄せる
12 リチャード,アリスに会う;エドワードの反攻
13 ヨーク派優勢の状況となり,バーネットに至る
14 バーネットの戦いとその後
15 テュークスベリーの戦い
16 ネヴィルの遺産,アンの失踪(p.148下〜)
17 アンとリチャードの再会
18 リチャード,ジョン・フォッグのことをエドワードに話す;アンと結婚へ

第3部(1482-1485)白猪
1 アンの子供;クラレンス,リチャードに秘密を話そうとする
2 クラレンスの死刑判決;リチャード,ジョン・フォッグに案内されてジョージの他殺体を見せられる
3 エドワード4世の死;リチャード,少年王エドワードの身柄を確保すべくノーサンプトンへ
4 リチャード,リヴァーズらを逮捕し,少年王とロンドン入り
5 スティリントンの告白(ヨーク公妃がスティリントンに命じた)
6 エドワード4世がエリナー・バトラーと結婚していたことの証言集め;ヘースティングズらの陰謀発覚
7 リチャード三世即位;ジョン・フォッグが接触したバッキンガムが乱に及ぶ
8 バッキンガムとジョン・フォッグらの処刑
9 リチャードとアンの息子の死
10 アンの死
11 テューダー軍を迎撃に
12 ボズワースの戦い


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