リチャード3世関連小説

The Reluctant Queen (Jean Plaidy, 1990)

『リチャード三世を愛した女』

ジーン・プレイディー 作
友清理士 訳
バベル・プレス
定価:本体2400円+税

帯解説より
ばら戦争に翻弄されたリチャード三世妃の生涯
キングメーカー・ウォリック伯を父にもつ少女アン・ネヴィルはグロスター公リチャードとの間に淡い思いを通わせていた.だが,父と国王の不和をきっかけに,アンも激動の乱世の渦中に投げ込まれる――.同盟関係がめまぐるしく変転するばら戦争の進行を,敵味方に引き裂かれながらもリチャード三世と添い遂げ,イングランド王妃にまでなったアンの視点を通して描き出す!

シェイクスピアと対極のリチャード三世像
リチャード三世といえばシェイクスピアの戯曲に描かれた悪逆非道な人物像で知られている.実はシェイクスピアのリチャード三世像が偏った史料に基づいたものであることはつとに知られている.本書はそのリチャード三世妃となったアンを主人公にしたものだが,アンがリチャードを心から愛しており,リチャードも忠義な正直者だったという,シェイクスピアとは正反対の視点で描かれている.(訳者あとがきより)
各章の概要は以下の通り.   注意:ネタばれあります!
プロローグ……1485年3月の日食の日,リチャード3世妃アンが回顧する
1……少女時代のアン・ネヴィルはキングメーカーたる父ウォリック伯の城に滞在していた少年リチャードと友情をはぐくむ.だが国王エドワード4世はキングメーカーの意に反してエリザベス・ウッドヴィルと結婚する.
2……親フランスのウォリック伯とブルゴーニュに近づく国王エドワード4世の溝が深まる.
3……ウォリック伯は娘イザベルを王弟クラレンス公ジョージと結婚させ,ついには国王に反旗を翻す.一時は国王を虜囚とするも,したたかな国王により国外逃亡を余儀なくされる.
4……フランスに亡命したウォリック伯はランカスター派のマーガレット王妃と同盟を結び,アンはランカスター派の皇太子エドワードと婚約させられる.ウォリック伯はエドワード4世の廃位とヘンリー6世の復位に成功するが,イングランドに上陸したアンはバーネットの戦いの悲報を聞く.
5……戦闘で婚約者を亡くしたアンは,幼なじみのグロスター公リチャードと再会する.
6……アンとリチャードは結婚を望むが,二人が結婚すると遺産の取り分が減るクラレンス公ジョージは,アンを下町の安宿に軟禁させる.
7……アンを助け出したリチャードはアンと結婚できるよう手を打つ.
8……アンはグロスター公妃となって幸せになるが,リチャードに私生児がいたことを知ってショックを受ける.一方,クラレンス公ジョージは妃を喪くした腹いせに暴挙に出る.
9……逮捕されたクラレンス公ジョージがロンドン塔で謎の死を遂げる.
10……エドワード4世が急死し,リチャードは少年王エドワード5世の護国卿となる.だが,リチャードはエドワード5世が庶子だとの証言を聞かされ,国王となる決意をする.
11……国王になったリチャードは信頼していた部下にも裏切られ,心休まる時がない.しかも,若く美しい姪のエリザベスとの結婚を望んでいるという噂が立ち,王妃アンの心をさいなむ.


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