リチャード3世関連小説

Uneasy Lies the Head (Jean Plaidy, 1982)

リチャード3世がボズワースの戦いにたおれ,ヘンリー7世のテューダー朝が成立してから,ヘンリー7世の死までを描く.ヘンリー7世の治世はウォリック伯エドワード(クラレンス公ジョージの子)を名乗るシムネルの乱,ヨーク公リチャード(エドワード4世の子)を名乗るパーキン・ウォーベックの乱,ティレルの2王子暗殺の「告白」,サフォーク(エドワード4世の妹の子)への警戒と晩年までばら戦争の後始末が続く.また,エリザベス・ウッドヴィルと王母であるリッチモンド伯妃マーガレットの確執なども興味深い.
手元の刊本に掲載されている作者ジーン・プレイディーの著作一覧によれば,「プランタジネット・サーガ」シリーズは第14作The Sun in Splendourで終わって本作はテューダー朝小説シリーズに分類されているが,本作を「プランタジネット・サーガ」第15作に分類しているリストもある.ヘンリー8世の少年時代やその妃となるキャサリン・オブ・アラゴンの物語などはまさにテューダー朝のプレリュードというにふさわしいが,上記のように「プランタジネット・サーガ」の完結編としての側面も強くもつ.

各章の概要
1. エリザベス王妃(エリザベス・オブ・ヨーク)がアーサー王子を出産;テューダー朝成立まで;エリザベス・ウッドヴィルとマーガレット・ボーフォートの確執
2. シムネルの乱・ストークの戦い;エドワード4世の甥リンカン伯が連座して処刑される
3. エリザベス王妃の戴冠;妹セシリーのジョン・ウェルズとの結婚;遠ざけられた母エリザベス・ウッドヴィルへのスコットランド王との縁談
4. スコットランド王の戦死の報;エリザベス・ウッドヴィルの死;ヘンリー7世のフランス出兵と和議;王位僭称者の報
5. パーキン・ウォーベックが行方不明のヨーク公エドワードとしてブルゴーニュに迎えられる
6. 勝気な第二王子ヘンリーのヨーク公爵叙任;サー・ウイリアム・スタンレーの刑死;パーキン・ウォーベックの上陸の試み
7. パーキン・ウォーベック,スコットランド王の親族の姫と結婚
8. イングランド入りしたパーキン・ウォーベック捕われ,ウォリックとともに処刑
9. スペイン王女キャサリンの輿入れ
10. 皇太子アーサーとキャサリンの新婚生活と死別
11. ロンドン塔の2王子の死の真相:リンカン伯の弟サフォークの反乱未遂を機にジェームズ・ティレルが口頭で2王子暗殺の罪を告白;ただし,世の安泰のため事実を曲げてリチャード3世時代だったことにする
12. キャサリンとヘンリー王子の結婚方針;王妃エリザベス・オブ・ヨークの死
13. キャサリンをヘンリー7世妃とする計画;キャサリン,ヘンリー皇太子と結婚
14. スペイン王女イザベラの死;ヘンリー7世の後妻探し;ヘンリー7世,皇太子にキャサリンとの結婚無効を強要;皇太子の反発
15. ブルゴーニュ領にいるサフォークについての懸念;妃ファナのカスティリア王位継承でスペインに向かったブルゴーニュ公フィリップの遭難と英国への避難;サフォーク引き渡し交渉
16. ブルゴーニュ公フィリップの死;ヘンリー7世の後妻探しと死
17. ヘンリー8世即位とキャサリンとの結婚成就の意思

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